2008年10月03日(金) 15時06分
「買った方がまし」天秤にかけて購入決断(オーマイニュース)
■月20万の家賃は払い続けられない
前回、「彼が生涯賃貸主義だったため、マンション購入という考えはなかった」と書いた。
たしかにその時点では考えていなかったが、賃貸マンションの予算が上方修正された段階で、私は机上の計算を始めていた。
このまま「都心で駅から5〜6分、広さもそこそこ」という条件を譲らなければ、共益費込みの家賃は19〜22万円(駐車場代別)になりそうだ。1 年で230〜260万円になる。初期経費(敷金2カ月、礼金2カ月、保証料2カ月)をざっと120万円として、初めの2年で580〜640万円。2年ごとの更新でさらに敷金と保証料が計80万円が出て行く。
それまで互いに1人暮らしで、彼が月15万円(共益費・駐車場代込み)、私が月9万円の家賃を払っていたから、2人で稼ぐかぎりはきついけれど払えない額ではない。
だが、もし妊娠・出産で私が今のペースで働けなくなったら? フリーで働いている彼の仕事が減ったら? どちらかがこけたらアウトである。
いずれは引っ越すことになる。そのときにまた連帯保証人問題で悩むのかと思うと気がめいった。
「2年で500〜600万円も出て行くなら買った方がマシかな……面倒くさそうだけど、どうせ賃貸でもこれだけ面倒くさいんだから……」
こんな考えが頭によぎった。
■「生涯賃貸」ができる人とは
あとから聞いた話だが、「生涯賃貸」派だった彼の考えも、賃貸で嫌な思いをした反動で変わってきていたそうだ。
なんでも「生涯賃貸」ができるのは、
(1)年を取ったら海外か地方に移住する計画がある
(2)親などから家か土地を相続する予定がある
ような人だけではないか、と思いあたったそうである。それ以外の人は、いつかは買わなければならない。サラリーマンならば定年時に退職金でどんと買う選択肢もあるだろうが、自営業の彼に退職金はないのだ。
「どっちにも当てはまらないおれのような場合は、そこそこ稼げているうちにさっさと買って、賃貸で払う分の家賃でローンを返していった方がいい」
経済音痴の割に気にしていた土地価格の変動も、自分が住む限りはあまり気にする必要はないと結論したそうだ。投機用であればわずかな値崩れにも緊張するが、居住目的であれば、ローンさえ払えればあまり関係がないからだ。また、素人がいくら考えたところで、10年、20年後の土地変動はそう予測できるものではない。
買うのも良いかもしれない——と思ったとはいえ、自営業の彼の確定申告書の内容ではローンは組めない。決断は、社員10数人で経営難の小企業勤めとはいえサラリーマンの私に預けられていた。
■「私がローンを組む!」
いまどき女性がマンションを買うのは珍しくないが、小市民の私には、そういう女性は国家資格持ちか上場企業の高給取りのバリキャリで、株で稼ぐかしっかり貯金しているイメージがあった。実際そういうケースが多いと思う(男性はそうでないケースも多いのだが)。
無資格で小企業勤め、大した貯金もない私は、それでも決断した。
「買うのもアリだと思う。ローンは私が組むよ。一応会社員だし」
ローンは私名義だが支払いは共同で。物件は共有名義。賃貸の家賃を払うつもりで返していけば早く完済できるだろう。離婚になれば面倒だけど、慰謝料代わりになるかもしれないし——。
腹をくくった私たちは、それまでの賃貸マンションの資料をすべて捨てて頭を切り替えた。
(つづく)
(記者:日向 藍子)
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