中山成彬国交相(65)は26日、成田空港建設反対闘争を「ごね得」、また「日本は非常に内向きな単一民族」、などと発言したことについて、「ご迷惑をおかけしたことを申し訳ないと思っている」と謝罪した。同氏の発言をめぐっては、千葉県、成田市や関係団体からも批判が殺到。与党からも苦言を呈される事態になった。同氏は辞任については否定したが、野党は麻生太郎首相(68)の任命責任の追及や罷免要求を求める構え。衆院解散のタイミングにも影響を与えそうだ。
空港建設、観光客誘致、そして教員汚職問題。就任早々、問題発言を連発した中山氏はこの日、「言葉足らずというか言い過ぎた点を含めて撤回する」と平謝りに徹した。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は「撤回で済む話ではない」。社民党の福島瑞穂党首も「人権感覚の無い人を閣僚に選んでいる」と野党は一斉に反発。千葉県の堂本暁子知事も「ごね得」の言葉に「大変ピントの外れた発言」と不快感を示したほか、成田市の小泉一成市長、さらに北海道ウタリ協会や日教組の代表もこの日、国交省を訪れる事態となった。
内閣発足前から、麻生首相自身の失言を心配する声はあったが、まさかの閣僚からの舌禍。与党からもかばう声はない。「とんでもない発言。(報道陣に)聞かれたら、何と答えればいいんだ」と公明党の太田昭宏代表は周囲に怒りをぶちまけたという。自ら政治とカネの問題が発覚した河村建夫官房長官も「各閣僚は誤解を与えるような発言は注意するべきだ」と中山氏の発言が不適切だったことを認めた。
「私人、公人の発言は区別しないといけない」と苦しく釈明をした中山氏。自身と妻・恭子氏、息子も官僚のため、就任前に行政改革担当相を断って国交相になったことを報道陣から「(それこそ)ごね得ではないか」と聞かれ「これ以上の質問は勘弁いただきたい」と疲れきった表情を見せた。
野党にとってみれば、汚染米と年金記録改ざん、金融不安、後期高齢者医療制度の「4点セット」で政府を追及する戦略に、新たなカードが加わった格好。この状況に政治評論家の浅川博忠氏は「野党にとって格好のエサ。一気に3分野で失言なんて、大臣として以前に、政治家として軽率」と、今後も引きずれば進退問題にかかわるとした。
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