1981年の米ロサンゼルス銃撃事件で逮捕された元会社社長三浦和義容疑者(61)=日本では無罪確定=の逮捕状取り消し請求で、ロサンゼルス郡地裁のバンシックレン判事は26日(日本時間27日)、容疑のうち殺人については無効、殺人の共謀は有効と決定した。
全面無罪を主張し拘置先の米自治領サイパンからロスへの移送停止を求める三浦元社長には厳しい決定。今後、移送手続きが本格化する見通し。
検察側によると、共謀罪では禁固25年から終身刑が科される可能性がある。
サイパンの米連邦地裁は新たな人身保護請求の審理を29日に開く予定で、それまで移送手続きは停止状態。サイパンの弁護人は「自発的にロスへの移送を認めることもオプションの一つ」とした。共謀容疑での訴追に徹底的に争う戦略に軸足を移すとみられる。
ロスの審理では、元社長の逮捕が判決が確定した事件で再び罪に問われない「一事不再理」原則に該当するかどうかが争点だった。判事は殺人容疑での訴追はこの原則に反すると判断。
ロスを管轄するカリフォルニア州は2005年施行の改正刑法で、外国での確定事件を一事不再理の対象外としたが、03年に日本で無罪が確定した元社長にこれを適用するのは、不利益な処罰をさかのぼって科さない「遡及(そきゅう)処罰の禁止」に抵触するとした。
一方、同州刑法の共謀罪は殺人罪とは別の独立した罪で、日本の「共同正犯」とは違うと指摘、一事不再理の原則に反しないとした。
逮捕状では、三浦元社長が妻一美さん=当時(28)=を殺害するため、一美さんを撃つよう何者かに手で合図をしたことなど計20の顕示行為を示している。(共同)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080927-OHT1T00144.htm