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2008年09月26日(金) 16時36分

<堀江貴文氏>「蟹工船の漫画は読んだ」 「勝ち」「負け」興味はない(下)毎日新聞

 1時間を超すインタビューの中で、堀江元社長の淡々とした口調が変わった瞬間があった。「賃金」と「規制緩和」が話題に上ったときだ。

【インタビュー前半】堀江貴文氏:「蟹工船の漫画は読んだ」 「勝ち」「負け」興味はない(上)

 「グローバル化が進んで、中国やインドの労働賃金の安さに日本は勝てなくなっている。日本という小さな島のクオリティー(質)を上げるには、科学や技術に優れた人たちを応援して伸ばして、仕事をしやすいようにするしかない。それが、全体への富の配分となり、最低賃金を上げることにもつながる。それなのに、官僚が権限を手放したくないために規制を強化し、金持ちから単純に税金を取り上げるとなれば、みんな逃げ出します。自由に生きたいと思っている人が『この国、やだよ』になっている。ぼくは行かないけど、周りにいますよ。本気で嫌になって外国に行く人が。あんなの、いいのかな」。最後は、興奮したように語気を荒らげた。

 「この国」という言葉が元社長から出たのは意外な気がした。インターネットという国境を超えるシステムを駆使して、時代の風雲児になったのだ。そして、8月から始めたネット上の日記(ブログ)にも「故郷(ふるさと)日本」との記述があった。かつて自著に「人間を動かすのはお金です」と記したのに。元社長と古里という言葉が結びつきにくいと言うと、「どういうことですか」と不満げだ。古里からは、人情や感情、向こう三軒両隣といった濃い人間付き合いを連想するのですが……。

 「確かに、そういうものを極力排除しようと思っています。表には出さないようにしています。ぼく、九州の片田舎から出てきて、極力こう、九州出身のにおいがしないように生きてきたんです。言葉もあまり(においが)しないと思う。地元では話が合わなかったけれど、日本ぐらいの広がりになると一緒に何かを考えたり、過ごせたりする人がいる」。だから「故郷日本」なのだという。

 そして、続けた。「あまりにもグローバルになっちゃうと行き過ぎちゃう。本当に、世界の中で自分が日本人だったことも忘れちゃう気がするんですよね。そのバランスをとりたいからじゃないですか」

 心境の変化なのか。はっきり分からなかった。【坂巻士朗】

 ■人物略歴

 ◇ほりえ・たかふみ

 1972年、福岡県生まれ。96年にオン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を設立。05年の衆院選で立候補し落選。06年、証券取引法違反で逮捕された。今年7月の2審で懲役2年6月の実刑判決を受けて上告中。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080926-00000010-maiall-soci