2008年09月25日(木) 10時33分
虫に食いつぶされていく島を偵察した(オーマイニュース)
瀬戸内海(広島県安芸津町)にある無人島、ホボロ島が、ナナツバコツブムシという虫の大繁殖で、消滅の危機にひんしているというニュースが地元メディアで報道されたことがある。
ヨットでセーリング中、その島が近くにあることを友人が教えてくれたので、行ってみることにした。
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ホボロ島は、安芸津町の沖合いにあった。島というよりも「洲」、「干潟」といった方がいい。ホボロとは、地元で「竹かご」のこと。竹かごをひっくり返したような形をしていることから、ホボロ島の名が付けられたそうだ。
この日は大潮だったため、ホボロ島の全体像がよくわかった。外から見ると、この島は岩の塊りのようでもあるし、全長70〜100メートル、幅10メートルほどの、細長い洲のようでもある。
ホボロ島がテレビや新聞に取り上げられたのは、ナナツバコツブムシという体長1センチほどの虫に、無数の穴を開けられているためだ。その穴に波が打ち寄せ、次第に岩が侵食され、島がなくなりつつあるからである。
ホボロ島はかつては最高地点で、約22メートルの高さがあったという。現在では干潮時でも6メートルに過ぎず、将来的には島自体が消滅してしまう惧れがある、と沖村雄二・広島大名誉教授(地質学)が長年の調査・研究で明らかにしている。
生物浸食作用によって、島がなくなってしまう──。こんなことは世界的にも極めて奇異なことだ。メディアによって“虫が食う島”として取り上げられたことで、この島は一躍有名になってしまった。結果的に上陸する人が増え、踏み荒らされ、島の崩壊に拍車がかかっていると地元紙は伝える。皮肉なことだ。
我々は上陸せず、船でゆっくりホボロ島を廻って、観察した。最高地点が16メートルも削られ、やがて消えゆく運命にあることを思うと、自然の驚異(おどろき)と脅威(おそれ)を感じた。
(記者:松原 ただし)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080925-00000000-omn-l34