2008年09月24日(水) 17時33分
【元公安庁長官再尋問(8)】イライラ頂点の弁護人 「結構です」と話を遮って…(産経新聞)
《緒方重威被告は初めの新聞報道後も、河江浩司被告や、河江被告が出資を依頼していた航空ベンチャー会社社長のAさんを信じていたと強調する。被告人席の満井忠男被告は、何かを思い出そうとしているのか、上を向いてしきりに考え事をしている》
《平成19年6月13日の夜、緒方被告は満井被告や河江被告と会い、会見の内容などを説明していた》
緒方被告の弁護人「6月13日の会話で(朝鮮総連の土地建物がRCC=整理回収機構に差し押さえられて競売にかけられることで)売買価格が安くなれば、3人(緒方、満井、河江各被告)にメリットがあるという文脈で話していたのですか」
緒方被告「私たちにメリットは何もない。そんなことを考えて話したことではありません」
緒方被告の弁護人「被告人には満井被告から、(平成19年4月25日に)7000万円が支払われています。満井被告との間で、この7000万円は(報酬として支払われたのではなく)満井被告の会社に出資している韓国人に、被告を通じて返還する金だと、口裏を合わせたと、検察側は主張していますが」
緒方被告「ないです」
緒方被告の弁護人「河江被告が報酬として満井被告から1億円をもらっているという話はしましたか」
緒方被告「その時点で、河江さんが1億円をもらっていることを全く知りませんでした」
《新聞報道によって、問題が世間に明らかにされた後の6月15日、緒方被告に、緒方被告の元依頼者から1本の電話があった》
緒方被告の弁護人「6月15日に、電話で資金提供を申し出た人がいますね。何をしている人ですか」
緒方被告「検察のOBから紹介を受けて、仕事を引き受けた人です。それ以来相談を受けたりしていました」
緒方被告の弁護人「不動産関係に人脈がある人ですか」
緒方被告「非常に力のある人できちんとした方です」
緒方被告の弁護人「どんな申し出でしたか」
緒方被告「『売買価格が35億と報道されていますが、20億なら出せます』と言われました。(総連側の弁護士の)土屋(公献)先生にも『20億なら出せる人がいます』と話したら、土屋先生は『総連側で15億を用意できるかやってみます』と話していました」
緒方被告の弁護人「それでどうなりましたか」
緒方被告「(電話で申し出てくれた相手が)『10億しか集まりません』と。その後『やはり、総連絡みの話は出資者が尻込みします』となり、ダメになりました。土屋先生にも20億が10億、そしてダメになったと説明しました」
緒方被告の弁護人「ダメになってどう思いましたか」
緒方被告「もともと力のある方なので、最初から頼めばよかったと。時既に遅し、感謝するとともに参ったなという思いでした」
緒方被告の弁護人「土屋先生にもだめになったことは連絡したのですね。そのときの気持ちは?」
緒方被告「4月からの騒ぎは何だったのだろうと。断腸の思いで、残念な気持ちでした」
《こうしたやりとりと前後して、緒方被告は、河江被告に連絡を取り、改めてAさんを通じた資金調達について問い合わせをしていたと証言した》
緒方被告の弁護人「この日に河江さんと話をしましたね。河江さんはどんなことを話していましたか」
緒方被告「はい。6月15日に私の理解者から出資の申し出がありました。だから、Aさんはどうなっているのかと河江さんに尋ねました」
緒方被告の弁護人「前置きはいいんですが、河江さんはどんなことを話していましたか」
緒方被告「『Aさんはこんな騒ぎになって、金なんか調達してくれる人がいるわけがないと言っている』と言われました。私は腹が立ちました」
《相変わらず、緒方被告の証言は回りくどく、長くなりがちだ。弁護人は多少イライラしている様子だ》
緒方被告の弁護人「河江さんにはどのように言ったのですか」
緒方被告「『大義でやっているというから信じていたのに、とんでもない人物だ』と河江さんを怒るような口調で話したと思います」
緒方被告の弁護人「6月18日には登記が戻されましたね」
緒方被告「はい」
《ここで質問の流れが変わる。弁護人は満井被告から緒方被告へ渡った1億円の趣旨を明らかにしようとしている。検察側は、この1億円が満井被告から緒方被告に対する詐欺の報酬だったと位置づけている》
緒方被告の弁護人「話を変えます。満井さんから1億円が送金された経緯についてです。4月25日に7000万円、5月1日に3000万円が被告の口座に振り込まれましたね」
緒方被告「はい」
緒方被告の弁護人「この1億円は、満井さんが総連から受け取った金から支払われたことは知っていましたか」
緒方被告「知りません」
緒方被告の弁護人「4月25日の7000万円は?」
緒方被告「満井さんの会社に出資している韓国人へ返済してくださいと言われました」
緒方被告の弁護人「検察側は詐欺の報酬と主張していますが」
緒方被告「違います」
緒方被告の弁護人「満井さんが口座を使えないから、被告の口座を使ったということですね」
緒方被告「はい。満井さんは銀行口座を持っていないと思います」
緒方被告の弁護人「この韓国人とは会ったことがありますか」
緒方被告「1度だけ。(7000万円が送金された)4月25日のすぐ後だと思います」
緒方被告の弁護人「結構です。どこで会いましたか」
緒方被告「品川のホテルのラウンジで」
緒方被告の弁護人「結構です。いたのは誰ですか」
緒方被告「満井さんと通訳、そして韓国人と私です」
《話が長い緒方被告。弁護人はたびたび「結構です」と遮るようになった。緒方被告も弁護人の考えを汲み取ったのか、話を早めに切り上げるようになった》
=(9)に続く
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