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2008年09月22日(月) 23時30分

「女性に多大な恐怖感を与えた」/JR連続強姦の被告に懲役18年カナロコ

 電車内のトイレで女性乗務員に暴行したなどとして強姦致傷罪などに問われた川崎市川崎区桜本一丁目、飲食店従業員今井卓哉被告(34)の判決公判が二十二日、横浜地裁であった。村上博信裁判長は「公共交通機関ですら強姦の被害場所になり得ることを示し、交通機関で働く女性に多大な恐怖感を与えた」などとして懲役十八年(求刑同二十三年)を言い渡した。

 三月二十七日と四月二日の早朝、利用者の少ないJR東海道線下りグリーン車トイレ内に女性乗務員を連れ込み、乱暴するなどしていた同被告。公判では、電車内の一件について「強姦致傷ではなく強制わいせつ致傷だ」、川崎市内の駐車場での一件は「合意の上だった」と主張していた。

 しかし村上裁判長は、「強い抵抗がなければ姦淫しようとしていた」と犯意を認定。さらに、そうした主張により被害女性が証人として出廷せざるを得なくなったことに触れ、「被害女性を侮辱し、感情を逆なでするような弁解を繰り返した」と厳しく指摘した。

 一連の事件後、鉄道会社は対策に追われている。JR東日本は、グリーン車内への防犯カメラの設置や防犯ブザーの配布、護身術の講習など、約十七億五千万円の予算を計上して二〇〇九年度までに対策を行うという。また、乗務員の複数勤務や警備員による警戒添乗など、ソフト面の対応も迫られる。

 同様の電車内強姦事件は〇六年にJR西日本でも発生。今井被告の自宅からは、乗務員を暴行するわいせつDVDが見つかっているという。

 村上裁判長は「従来安全と考えられていた公共交通機関での犯行は、人々に多大な恐怖感を与えた」と、事件の影響を懸念。JR東日本広報部は「(対策は)これで十分ではないかもしれない。今考えられる対策を着実に進め、再発防止に努める」と話す。想定していなかった場所での凶悪事件の波紋は、今なお広がっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080922-00000065-kana-l14