2008年09月16日(火) 17時12分
パラ五輪陸上男子八百M 伊藤、高田が連続ワンツー・フィニッシュ(産経新聞)
【北京=川越一】北京パラリンピック陸上男子八百メートル(車いすT52)で16日、同四百メートル金メダルの伊藤智也選手(45)=三重=が1分53秒42で金メダルを獲得し、2冠を達成した。高田稔浩選手(42)=福井=が2位に入り、四百メートルに続き、日本勢がワンツー・フィニッシュを果たした。また、同走り幅跳び(切断などF42/44)では、スズキ所属の義足のアスリート、山本篤選手(26)=静岡=が5メートル84を跳び銀メダルを獲得した。
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第4コーナーを回ったとき、背後から奇声が聞こえた。「高田君のね、『アオー』とかいう声が聞こえたんでね、来たな、来たなと思うとったんですけど」。最大のライバルを従えて、最後の直線を走り抜けた。もう一つの目標だった世界新記録はすでに予選でたたき出していた。決勝は勝利を優先。余力を残したままの“横綱相撲”だった。
12日の四百メートルで金メダルを獲得した後、選手村の自室にこもった。電話が鳴っても取らなかった。数え切れないほど届いた祝福メールもあえて開かなかった。「メールは腐るほど来ましたけど、見てはいけないと思って見なかった。集中したかった。『おめでとう』とかね、一つの区切りになってしまうので。まだまだ僕の気持ちはきょうまで切らすことできなかった」。
レース当日の天気は晴天だった前日から一転し、曇り。神経性の病気を抱える伊藤選手や高田選手におって気圧の変化は大敵だ。それほど敏感な体調だけに、次の目標は立てにくい。財政面を支援してくれるスポンサー企業の動向も大きなカギになる。
「4年後は考えられない。正直、2年後もあまり考えられないですが…。ちょっと病気と真面目に向き合うのも僕にとっては大事なことなので、そちらの方も考えながら、ドクターと相談しながらということになると思います」。2年後の世界選手権(ニュージーランド)、4年後のパラリンピック・ロンドン大会を目指す前に、戦わなければならない“難敵”がいる。それが障害を抱えるアスリートの現実だ。
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