米証券大手リーマン・ブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請したことについて、日本の金融市場関係者は「最後には公的資金が投入され、救済されると思っていた」(大手証券幹部)だけに、金融市場の混迷に一段と拍車がかかる事態に大きな衝撃を受けている。
金融庁は国内金融機関のリーマンとの取引の有無や規模について、本格的な調査を開始。一部大手銀がリーマン向け債権を保有しているとみられ、金融当局、金融機関とも米国の金融再編劇の動向を注視している。
リーマンは1986年に東京支店を開設。外国人投資家の株式の売買注文取り次ぎや債券取引などで事業を拡大。売買銘柄の推奨などで大きな影響力を持つだけに、リーマンの市場からの退出で「株価だけでなく出来高の面でもマイナス影響は大きい」(取引所関係者)と懸念される。
ただ日本企業への資金調達支援の規模はそれほど大きくなく「影響は限定的ではないか」(大手証券)との指摘もある。
一方、米銀行大手バンク・オブ・アメリカによる米証券大手メリルリンチの買収では、メリルリンチの提携先の金融機関で、現状の提携関係が維持できるかどうかなどが焦点となりそう。
メリルリンチに対してみずほフィナンシャルグループは約1000億円を出資。出資が目減りしないかどうかなどは不透明だ。
企業の合併・買収(M&A)関連で提携関係にある金融機関もあり、企業再生ビジネスが頓挫する懸念もある。