食料価格高騰問題が深刻化する中、インド東部ビハール州政府がこのほど、住民にネズミの肉を食べるよう奨励することを検討し始めた。インドでは、備蓄されている穀物の半数がネズミに食べられてしまうため、備蓄穀物を守る狙いもあるという。州当局者は「ネズミの肉は健康によい」と説明しており、政府系レストランでネズミ料理を導入する考えだ。
世界的な食料価格の高騰は、8000万人超の人口を抱えるビハール州でも深刻な問題となっている。その究極の解決法として、州政府は「ネズミを食べよう」と仰天策をぶち上げた。
ネズミを食べることは、食料問題の解決に、“一石二鳥”の効果があるという。
インド紙などによると、インドでは倉庫や屋外で備蓄されている穀物の50%はネズミに食べられてしまう。人がネズミを食べることで、ネズミが減り、結果として備蓄穀物も増えるという理屈だ。州当局者は「備蓄穀物も守られるだけでなく、備蓄穀物への依存度を減らすこともできる」と、価格が高騰する米への依存も緩和できる“ダブル効果”を、自信たっぷりに語った。
州政府の計画では、政府系レストランでネズミ料理をメニューとして出すだけでなく、5つ星ホテルでもネズミ肉を使うよう働きかけていくという。州当局者は「ネズミの肉は健康にもよく、安価なたんぱく源だ」と安価な健康食としてもアピールしている。
同州ではかつて、低カーストの貧困層が、ネズミを捕獲して食用にする習慣があった。しかし、高カーストの人々が「不潔で食用に適さない」とやめさせた経緯があるという。
ネズミ肉が食材として定着するには、強い抵抗も予想されるが、州当局者は「ネズミの肉を売れば、貧困層にとって新たな収入源にもなる」と指摘。「ネズミを食べよう」キャンペーンの実施を真剣に考えている。
一方、カンボジアでは牛肉の価格高騰などの影響で、安価なネズミ肉の人気が急上昇した。しかし同国のインフレの加速で、今年に入ってネズミ肉の価格が4倍に跳ね上がってしまい、いまや“高級食材”となっている。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080914-OHT1T00086.htm