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2008年09月11日(木) 23時17分

<事故米転売>給食に汚染米…病院「裏切られた」広がる不安毎日新聞

 細心の注意を払っていた食材で、なぜこんなことが−−。三笠フーズ(大阪市北区)の汚染米転売問題で、殺虫剤・メタミドホスに汚染された可能性の高い米が病院や老人ホームの患者、入所者らに提供されていた。流通にかかわった東京都内の業者も「まさか混入されているとは……」と驚き、焼酎、米菓に続き給食まで流通先が広がったことに関係者から怒りの声が上がった。【酒井雅浩、奥村隆、樋岡徹也、林哲平】

 問題の米を受け入れていた大阪府箕面市の長期療養型病院「ためなが温泉病院」。同病院前総務部長の為永順子さん(72)は「過去の食品問題の際も、うちの病院ではこういうものを使っていないかと口をすっぱくして、業者には問い合わせた。裏切られた」と憤った。

 同病院の患者は約300人。これらの人たちの給食業務を20年以上前から、給食会社「日清医療食品」(東京都千代田区)に委託している。毎月1日の昼食に赤飯を提供しているといい、この赤飯に問題の米が使われた可能性が高い。病院では過去5カ月の記録を調べ直したが、赤飯を食べた直後に嘔吐(おうと)するなどの患者はいなかった。だが、高齢患者からは「5回も食べたが大丈夫か」との不安の声が上がっているという。

 三笠フーズの汚染米を仲介業者を通じて購入していた日清医療食品は11日夜、千代田区の本社で邑口達也・広報課長が報道陣の取材に応じ、「納入した餅米に汚染米が混入していたと分かり驚いている。多くの関係者にご迷惑とご心配をおかけし心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

 久川有茂総務部長が汚染米使用は近畿支店の扱う約350の施設のうち、2府4県の119施設に及んでいた実態を説明。目視などでチェックしているものの不正を見抜けず、「自分たちの会社で検査する組織を持たないといけなくなるのか」と困惑の表情も。問題発覚後の9日からは納入ルートを切り替えたという。「これ以上の広がりはないのか」との報道陣の問いに「ないと思うが、各支店には調べるよう指示を出している」と話した。

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