2008年09月11日(木) 12時20分
突然の事業休止、業界に淘汰の波到来か 過剰サービスで自滅するFX業者(MONEYzine)
9月9日、FX業者のトレイダーズFXが突然事業を休止を発表した。
同社は、取引手数料を無料にし、スプレッドも米ドル/円を0銭にするなど、業界最高水準でのサービスを展開し、一部ユーザーの注目を集めていた業者だ。
同社は、「財務の健全性を示す自己資本規制比率が低下していることを考慮し、誠に勝手ながら、事業を休止させていただくことを決定致しました」と発表しており、過剰なサービスを提供していく上で、運用している取引システムの機能だけでは無理が生じ、市場リスクを適切に管理することができなくなってしまったとみられる。
投資家の資産は分別保管を行っていたため、大きな損失は出ていないが、同社を通して取引していたユーザーは、ブログなどで「今夜突然、業務休止のお知らせメールが届きました・・・」「事業休止だぁ? 」などとコメントしており、驚きを隠せないようだ。
今回の件は、固定スプレッドが市場リスクを膨らまし、その結果、事業継続性に問題が出ることが表面化したとも言え、以前から囁かれていた業界淘汰が本格的に始まったとの見方もある。事業の安全性が確保できず業務停止や行政処分を受ける業者は過去2年だけもすでに20社を超えており、今後もその数は増えそうだ。
2005年頃からブームとなり、現在も投資家が増え続けているFX(外国為替証拠金取引)業界だが、FX業者間の競争は激しさを増し、顧客獲得のために各社は、1〜2年前から手数料を無料に引き下げ始め、08年に入ってからは、スプレッドを縮小し始めている。
しかし顧客取引の反対売買を行うカバー取引を行う場合、為替変動リスクを取引会社は背負うことになり、07年8月に起こったサブプライムローン問題に起因する円高時には、急激な相場変動に耐えきれなくなり、市場でカバーがとれず、破綻する業者も出てしまった。そのためカバー取引からの撤退する業者も増え始めている。
今回、事業休止を発表したトレイダーズFXは「お客様の資産に影響を与えないよう、いったん事業を休止させて頂き、その後の準備期間において、システム機能強化やリスク管理態勢の脆弱性を早期に解消できるよう努めてまいります」とし、今後3か月以内での事業再開を目指している。
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