2008年09月10日(水) 16時09分
区画整理「計画」段階でも提訴可能に 最高裁、42年ぶり判例変更(産経新聞)
土地区画整理事業がどの段階まで進んだら裁判で取り消しを求めることができるかが争点になった訴訟の上告審判決が10日、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)であった。大法廷は、事業計画決定の段階でも取り消しを請求できるとの初判断を示し、この段階は取り消し訴訟の対象にならないとした昭和41年の最高裁判例を42年ぶりに変更した。判決により、住民が土地区画整理法に基づく事業の誤りを、裁判で問える機会が拡大する。
争われたのは、浜松市が平成15年に事業計画決定した遠州鉄道上島駅周辺の区画整理事業。住民が事業計画の取り消しを求めていたが、1審静岡地裁、2審東京高裁はともに昭和41年の判例に従い、訴えを却下していた。
大法廷は1、2審判決を破棄し、審理を静岡地裁に差し戻した。同地裁で事業計画が違法かどうかについて審理されることになる。
行政事件訴訟法では、取り消し訴訟を起こせる要件として、行政の行為が「行政処分」に当たることを規定している。
土地区画整理事業は、都市計画決定後、事業計画を決め、事業区域内の所有者の土地を代替地と交換するなどして進められる。
昭和41年の判例は、事業計画決定を「特定の個人に向けられたものではなく青写真に過ぎない」と述べ、行政処分ではないと判断。これ以後、訴訟の対象は代替地との交換以降とするのが一般的になっていた。
しかし、事業計画決定以降でも指定区域内に自由に建物が建てられないなど、地権者の権利が制限される。また、代替地との交換まで提訴できないと、仮に裁判所が計画を違法だと判断した場合は、それまでの投資が無駄になるなど、41年の判例には批判が多かった。
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土地区画整理事業をめぐる訴訟 国土交通省によると、土地区画整理事業は現在、全国の約1400地区で実施されている。また、最高裁によると、平成10〜19年の10年間で、土地区画整理事業の取り消しを求める訴えは計154件あった。
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