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2008年09月10日(水) 16時00分

フリースクール虐待 携帯禁止、外部と遮断 少女脱出後、密室化強める産経新聞

 京都府京丹波町の「丹波ナチュラルスクール」で入所者の少女(14)が虐待された事件で、施設側が入所者に携帯電話を持ち込ませないようにしていたことが10日、府警捜査1課の調べでわかった。少女が今年8月中旬に逃げ出したトラブルの後、入所者が寝泊まりする部屋の鍵が3重に増設されたことも判明。府警は、入所者と外部との連絡を遮断するなど「密室化」を進めていたとみて経営者の朴聖烈容疑者(60)を追及している。

 調べでは、入所者の部屋は寺院敷地内にあるプレハブ2階の約8畳の3室。ドアは外側からしか開かないよう細工していた。今年8月13日未明に事件の被害者の少女が別の入所者2人と一緒にドアをこじ開けて逃げ出した騒ぎがあった直後、ドアに補助ロック2つを取り付けて3重の施錠にしていた。

 一方、府警が朴容疑者を逮捕した9日に保護した入所者らは「脱走騒ぎ以降は暴力が減った」「職員が優しくなった」と話しており、今年8月末に入所したばかりの女性も虐待を受けなかったという。脱走した少女が警察に保護され、虐待の事実が発覚する恐れがあり、施設側はこれ以上問題化しないよう、入所者を懐柔していたとみられる。

 また、子供らが入所する際には、携帯電話の持ち込みを禁止するとともに、入所者の保護者が面会に訪れた際は、必ず朴容疑者ら施設職員が同席していた。自由に会話ができないようにして虐待など実態が外部に漏れないようにしていたとみられる。

 施設では朴容疑者と森下美津枝容疑者(55)が入所者を主に指導していたが、府警はこうした隠蔽(いんぺい)の実態を調べるため、施設に勤務していた他の職員数人からも事情を聴く。

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