2008年09月09日(火) 16時12分
「投資適格国」としての日本の必須条件を探る(ツカサネット新聞)
9月1日、福田首相が突然辞意を表明した。
就任以来国民に対して、一度も日本国家の進むべき方向、あるべき姿を指し示す事なきあっけない辞任劇だった。おそらく、それだけの気概もないまま惰性で首相の職を務めていたと言われても仕方がないだろう。安倍首相に続く、就任1年での政権の投げ出しは対外的に見ても大きなマイナスとなる。それは政治の脆弱性を海外に向けて露呈したことになるからだ。
日本国内の政治的混乱と不安定さのために海外での信用は低下し、外国人投資家は逃げ出した。世界同時不況に移行しつつあるとは言え、無策の福田政権下で日本の株価は3,600円も値を下げた。この現状を打破するためには、必要な政策実施のみならず、実施する内閣が長期に渡って維持・安定している事が必須条件になる。
ここに歴代首相の在任期間と株価の関係を示す興味深い資料がある。
そのうちここ10年ほどの期間について見てみたい。
■歴代首相の在任期間と株価の関係表(
図を参照 )
◆参考資料:
ダイヤモンドZAi
図 の通り、短命に終わった首相の時は明らかに株価は下落している。
在任期間が短命なのは、その首相の政策に期待が持てず、国民の支持が得られないからでもある。それは即座に株価の下落となって反映される。
唯一安倍首相の時に上がっているのは、安倍内閣が小泉内閣の政策をほぼ踏襲したからでもあり、それを市場が好感したからにほかならない。小渕首相の場合は中央省庁の再編、小泉首相は道路公団改革、郵政改革など明確な改革姿勢を国民に示している。
ちなみに小泉首相の在任期間に比して、株価の値上げ幅が少ないのは、政策に実効性が出て来るまでの間、前任者の森首相からの株価の下落傾向を引きずって、一時1万円を大きく割り込んだためと考えられる。
このように、政策課題を明らかにして、取り組む姿勢を見せた首相は国民に評価されその在任期間も比較的長い。それは海外での信用を得て、投資資金を呼び込む事にもつながるだろう。
そのためにも首相は国内だけではなく国外も意識して自分の意志と態度をはっきりさせる必要があり、それが日本の国の進むべき方向、あるべき姿を国外に知らしめることにもなる。何も伝えなければ、何も評価されない。
投資に値する国家として、日本の信用を取り戻すためにも、次期首相はその条件に適った人がなるべきだ。次回もまた短命に終わるならば、この国はますます混迷の度を深め、世界の中の漂流国家として漂い続けることになるだろう。
(記者:kusmix)
■写真
写真撮影:kusmix記者
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