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2008年09月07日(日) 00時26分

<霞が関埋蔵金>自民総裁選で論争再燃 バラマキ合戦にも毎日新聞

 福田康夫首相の辞任表明で衆院の早期解散・総選挙ムードが広がる中、与野党ともに福祉や景気対策など選挙向け政策公約の裏づけとなる財源を特別会計の積立金など「霞が関埋蔵金」に求める声が強まってきた。景気悪化で税収の大幅な落ち込みが確実視される中、「不人気な消費税増税や赤字国債増発を避けながら、歳出拡大を訴えるには埋蔵金に頼るしかない」(自民党幹部)からだ。ただ、どれだけの財源が捻出(ねんしゅつ)できるかは不透明で、埋蔵金を当てにしたバラマキ合戦も懸念される。【清水憲司】

 「埋蔵金」問題の底流には、特別会計を各省庁が縦割りで管理・運営し、仕組みも複雑なため、国民に分かりにくかったことがある。さらに、将来の年金給付のため特別会計に積み立てられた保険料で不採算な大規模保養施設を作って多額の損失を出すなど国民の不信感もある。小泉政権の塩川正十郎財務相は03年2月、「母屋(一般会計)でおかゆを食べているのに、離れ(特別会計)では子供がすき焼きを食っている」と批判した。

 06年度からの小泉政権の特別会計改革ではその過程で、各会計の余剰な積立金の存在が明らかになった。経済成長促進による財政再建を訴える「上げ潮派」の自民党の中川秀直元幹事長はこれに注目、早期の消費税増税不要論の根拠とした。

 また、政権交代を狙う民主党も昨年7月、積立金の一層の活用を前提に増税なしでも「15兆円超の財源確保が可能」とする政権公約を公表した。

 これに対し、消費税増税による財政再建を重視する与謝野馨経済財政担当相は昨年11月、「特別会計に多額の積立金が隠されているというのは伝説の域を出ない」と中川氏や民主党をけん制、埋蔵金論争が勃発(ぼっぱつ)した。

 その後、一時下火になったが、衆院解散・総選挙に向けて、高齢者支援など社会保障の充実や、09年度からの基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げの財源(年間2・3兆円)問題解決が迫られる中、当面の財源対策として改めてクローズアップされた。

 中川元幹事長は今年7月、「最大50兆円規模の財源が生み出せる」と政策提言。定額減税の大規模化を主張する公明党も「財源は埋蔵金で」と主張しているが、は「特別会計に余剰なカネがあるなら発行済みの国債の返済に充てるのが筋で、現在の埋蔵金の議論は巨額の財政赤字をどうするかという問題の本質から遠ざかっている」(櫨浩一(はじこういち))ニッセイ基礎研究所経済調査部長)との懸念も強まっている。

 【ことば】特別会計

 道路・港湾の整備、外国為替市場への介入資金、年金資金の管理・運用、国債の償還など特定事業にからむ資金の出入りを明確にするため、国の一般会計とは区分し、財政資金を取り扱う会計。使途を限定した税源や保険料、事業収入に加え、一般会計からの繰入金で賄っている。規模の肥大化や各省庁が縦割り管理し既得権益化してきたことに批判が高まり、小泉政権で制度改革に本格着手。特別会計の統廃合、歳出規模縮小のほか、特会の積立金や剰余金を一般会計に繰り入れる際のルールなどを定めた。06年度に31あった特別会計は現在は21。11年度には17に統廃合し、その後も5年ごとに必要性を再検討する。

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