2008年09月06日(土) 18時35分
ネット見積もりや明瞭料金体系 葬儀ビジネスに変化の兆し(J-CASTニュース)
お葬式の費用は不透明でわかりにくく、やたら高い——そう感じた人は少なくないはずだ。しかし最近では、事前にネットで見積もりができたり、料金設定が分かりやすくなったりしている。さらに、外資系も葬儀ビジネスに参入するなど保守的な体質も徐々に変わりつつある。
■ネットで無料見積もり利用者は約5倍に
葬祭専門業のモアスタイル(東京都中央区)は、葬儀の費用をネットで無料で見積もるサービスを行っている。小規模な「家族葬」、1日で供養ができる「一日葬」といった4つの葬儀スタイルと、同社が提携している約300の斎場(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)を選ぶと、その場で見積もりが出てくる。
ネットでのサービスを始めたのは3〜4年前からだ。何でもネットで検索する時代に、葬儀にもネットのニーズがあると考えた。今では利用者が当初に比べて約5倍にも増えている。ネットでの見積もりを可能にしたのが、わかりやすい料金設定だ。
広報担当者は、
「他の葬儀屋の料金設定がわかりづらいという苦情をおっしゃるお客様もいます。それでは業界への不信感が募る一方です。値段が不明瞭だった従来型を『黒いお葬式』とするならば、当社ではすべての情報を公開するという意味を込めて、『白いお葬式』を提案しています」
とPRする。
一方、チラシやネットで低価格を売りものにした葬儀屋も目立つが、火葬代、お花代、飲食代、お坊さんを呼ぶ費用など、別途かかる場合が多く、「結局高くついた」という苦情も出ている。同社では葬儀にかかるすべての費用を含んだ価格を提示している。
東京都で葬儀をあげる場合の平均価格は300万円超と言われているが、同社での平均は80万円前後。また、故人が質素な式にしてほしいと希望して、お通夜や告別式をやらない「火葬だけ」のスタイルも増えている。火葬場での簡単なセレモニーを含めて、価格は約20万円以内だ。
■外資系企業が新風吹き込む
価格の透明性と本人自ら生前に予約するサービスで、葬儀ビジネスに新風を吹き込んでいるのが外資系企業オールネイションズ・ソサエティ(東京都中央区)だ。2003年に日本に進出した。ここでは、3つのプランを用意していて、それぞれ会員価格と一般価格に分かれている。入会時に1万円(年内に3万円になる予定)払って「終身会員」になると、いずれのプランでも10万円安くなる。また、霊柩車代、お花代、マイクロバス代といったオプションについても明瞭な料金設定になっていて、必要な分だけ上乗せするという仕組みだ。こうしたスタイルは米国では一般的だそうで、その方式を採用した。アメリカでも数十年前までは今の日本と同じ不透明な料金体系だったが、1980年代以降に大きく変わったという。同社担当者は、
「日本の場合は、しきたりやならわしが根強く残っていて、それらを完全に打ち破るのは難しいです。そのため当初は葬儀屋と付き合いのある花屋や料亭の理解を得るのも一苦労でした。最近は、お客様のニーズが増えていることもあり、だいぶ理解してもらえるようになりました」
と話している。
商品の値段を比較できるサイト「価格.com」にも、葬儀のカテゴリーがある。葬儀のプランとエリアを選ぶと、葬儀屋が検索できる。各社の特徴と、費用の目安、クレジットカードの使用の可否が表示される。ネットで簡単に葬儀の費用が比較できる時代になり、従来のように病院に待機している葬儀屋に成り行きで頼むのではなく、吟味して選べるようになっている。
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