2008年09月05日(金) 21時57分
事故米 食用に転売…一部にメタミドホス 大阪の卸業者(毎日新聞)
コメの卸売加工業者「三笠フーズ」(大阪市北区、冬木三男社長)が国から購入した非食用の事故米を食用などとして転売していたことが分かった。03年度以降に購入した約1800トンのうち、残留基準値を超える有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入した中国産など少なくとも約300トンの転売が確認された。福岡県内の工場で加工され、一部は焼酎などで販売されているとみられる。
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◇流通状況を調査…農水省
健康被害は確認されていない。農水省から5日に回収を指示された三笠フーズは自主回収する。また、同省は近く食品衛生法違反容疑で同社を大阪府警と福岡県警に告発する。
農水省によると、同社は03年度から今年度まで、事故米を粉にして工業用のりなどの原料に加工するとして国から非食用の事故米計約1779トンを購入。実際は、佐賀県や鹿児島県の仲介業者や焼酎メーカーなどに転売していた。転売が確認された米は、メタミドホス混入の中国産約295トンのほか、発がん性のカビ毒「アフラトキシンB1」に汚染されたベトナム産などの約3トン。いずれも国が世界貿易機関(WTO)の協定に基づくミニマム・アクセス(最低輸入義務)枠で輸入した。
8月末、事故米の不正流通をしているとの匿名の通報が同省にあり、同省が立ち入り調査を実施。メタミドホス0.05ppm(残留基準は0.01ppm)が検出された中国産の事故米を、06年度と07年度に同社が計約800トン購入。そのうち、約295トンが食用として転売されていたことを確認した。
さらに、アフラトキシンB1が0.02ppm検出されたベトナム産の事故米を04年度に同社が約3トン購入。鹿児島県などの焼酎メーカー3社に販売されていた。仲介業者に転売された事故米がさらに転売され、一部が別の鹿児島県などの焼酎メーカーに渡っていた。焼酎以外どのような加工会社に流通したか、農水省が調査中だ。
メタミドホスは中国製冷凍ギョーザ事件でも混入が確認され、同事件では最高で基準値の10万倍超が検出されている。アフラトキシンB1は、コウジカビの一種から生まれ、自然界で最強の発がん物質とされる。
農水省の聴取に対し三笠フーズは「メタミドホス混入米は転売前に検査をして問題ないと判断した。カビの米は表面を削って転売した」と説明している。同省は「今のところ安全性に問題はないと考えており、転売先などについては、混乱を招く恐れがあり公表できない」としている。【奥山智己、夫彰子】
◇事故米
国が買い取って保管、販売する政府米(外国産を含む)のうち、水にぬれたりカビや基準値を超える残留農薬が検出されて食用に回せない米。工業用のりなど用途を限定して販売される。農水省によると03年度〜08年7月に計約7400トンを販売し、三笠フーズを含む計17社が購入した。価格は1キロ当たり10円前後で、せんべいや酒の原料として売られる食品加工用米の5分の1ほど。
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