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2008年09月04日(木) 00時07分

政管健保、来年度料率上げ…高齢者拠出増で最大8・5%読売新聞

 厚生労働省は3日、中小企業サラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)の2009年度の保険料率(医療分)について、現行の8・2%を0・1〜0・3ポイント引き上げ、8・3〜8・5%とする必要があるとの見通しを明らかにした。

 保険料率は2003年度から据え置かれたままだったが、医療給付費や高齢者医療への拠出金の増加が影響した。

 同省によると、政管健保の09年度の支出は、医療費や高齢者医療への拠出金などを含め、前年度比2・3%増の7兆5900億円となる見込み。これを賄うには、国庫補助(9700億円)などに加え、積立金にあたる「事業運営安定資金」1800億円をすべて取り崩しても、保険料収入として6兆3900億円が必要。

 保険料を確保するためには、従業員の給与水準が現状のままと仮定した場合、保険料率を8・3%にする必要があると試算。さらに、積立金に手を付けないケースでは引き上げ幅が拡大し、保険料率は8・5%になる。

 政管健保は10月に公法人「全国健康保険協会」が運営を引き継ぎ、これまでは全国一律だった保険料率を、同協会が各都道府県ごとに設定するため、今回の数値は全国平均の見通しとなる。

 政管健保の保険料率は、03年度に保険料をボーナスからも徴収する総報酬制の導入に合わせて、8・5%から8・2%に引き下げられた。黒字が続いたが、07年度決算では1390億円の赤字に転落。今年度も1900億円の赤字の見通し。

 今春に始まった高齢者医療への財政支援を巡っては、大手企業の健康保険組合も負担増に苦しんでいる。「西濃運輸健保組合」が8月、前期高齢者への納付金により、保険料率アップが避けられないとして、解散して政管健保に移行することを決めた。しかし、政管健保も今後の保険料率アップは避けられない見通しで、現役世代が高齢者医療を支える仕組み自体が問われそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080904-00000000-yom-soci