2008年09月03日(水) 16時11分
【痴漢でっち上げ「主犯」公判】(4完)黙り込む蒔田被告に検察官激怒、質問も“脱線気味”に…(産経新聞)
被告人質問が続く痴漢でっち上げ事件の公判。黙り込むことが多くなった蒔田文幸被告(24)に検察官は叱りつけるように質問。過去に起こした死亡事故被害者の墓参りの有無にまで及んだ。
検察官「(強盗未遂の)美人局や痴漢でっち上げは事前に相談してやったか、それとも当日急にしたのですか」
被告「痴漢は事前に」
検察官「何日ぐらい前ですか」
被告「2、3日前」
検察官「捜査段階で痴漢は女性から言ってきたと言ってましたが、それは間違いで、あなたから」
被告「はい」
検察官「何と言って持ちかけたのですか」
被告「でっち上げしてお金を取ろうと」
検察官「目撃者がいるのがいいとか、ちょろいとか言いましたか」
被告「…」
検察官「じゃあ、ひとつひとつ聞きます。ちょろいとは(言いましたか)」
被告「はい」
《蒔田被告は弁護人の質問の返答より小さな声で歯切れが悪くなった》
検察官「おれが目撃者を演じるからとも」
被告「はい」
検察官「あなたが提案しましたか」
被告「はい」
検察官「女性に自分から肩に触れるようにとは」
被告「いいえ」
検察官「後はおれに任せておけとは」
被告「言ってません」
検察官「お互いに(面識のない他人を装うため)携帯電話のメールや着信履歴を消せとは」
被告「言いました」
検察官「スカートをはいていけとは」
被告「スカートは彼女からはいて行くと言っていました」
検察官「でっち上げで求める金額はいくらぐらいになると思っていましたか」
被告「具体的に決めていませんでした」
検察官「捜査段階では30万円ぐらいと言っていましたね」
被告「はい」
検察官「金額の根拠は」
被告「だいたいそのくらいだと」
検察官「お金の分配は」
被告「折半するつもりでした」
《続いて検察官は蒔田被告が痴漢の示談金がどれくらいになるか大学の法学部の教授に聞きに行ったことについて質問を始め、被害者の男性が逮捕された後も示談金を取ろうとしていたのかどうか確認していく》
検察官「法学部の先生に相談していくら慰謝料(示談金)がもらえるか聞いてますけど、その段階でもお金を男性から取るつもりだったんですね」
被告「…」
検察官「あなたの提案で先生に聞きに行ったのですか」
被告「彼女が大学の先生から聞きたいと。ぼくが法学部だったので」
検察官「どうして先生に聞きたいと」
被告「いくらぐらい取れるか聞きたいと…」
検察官「その時も慰謝料名目で取る意思があったのですか」
被告「…」
《また蒔田被告は黙って返答をしなくなり、検察官は強い口調で質問した》
検察官「覚えてないのですか」
被告「すみません」
検察官「先生に聞きに行ったのはお金を取るつもりだったのではないの」
被告「はい」
検察官「被害者の男性が逮捕されたのは知っていたと思いますが、釈放されたのは知っていたのですか」
被告「知らないです」
検察官「男性が勾留されている段階でもお金を請求しようと思っていたのですね」
被告「…」
《検察官は質問を変え、蒔田被告が以前に交通事故で死亡事故を起こし、執行猶予中だったことについて聞き始めた》
検察官「事故の裁判はいつだったか覚えていますか」
被告「2年ほど前」
検察官「その時も被害者に申し訳ないと、二度としませんと言ったのでは」
被告「はい」
《蒔田被告は事故の話になるとさらに声が小さくなった》
検察官「その後何件も事件を起こしたのはどうして」
被告「…」
《蒔田被告が黙り込む形が多くなり、ここで女性検察官は質問を終え、男性検察官に交代した》
検察官「お金に困ったのはなぜ」
被告「パチンコで使って」
検察官「どのくらいつぎ込んでた」
被告「15万円ぐらい」
検察官「女の子をナンパして、デート代が必要だったようだけど、それはいくらぐらい」
被告「5〜10万円」
検察官「飲食代は」
被告「…。5〜10万円ぐらい」
《女性検察官とは違い、叱るように質問する男性検察官。蒔田被告はますます歯切れの悪い返答に》
検察官「事件当時、大学生だけど、両親から小遣いは2万円もらっていたと。なくなったら祖母にお金もらったり、欲しいものを買ってもらってたんでしょ」
被告「はい」
検察官「お母さんの証言だと大学は冬休みだったと。小遣いが足りない分、なんでバイトしないの」
被告「申し訳ないです」
検察官「大学の友人はみんなバイトしているでしょ」
被告「申し訳ないです」
《男性検察官は相変わらず叱りつけるように詰問調で聞いていく》
検察官「これまでにも女の子をナンパしてお金かかってたんでしょ。女性以外とも犯罪したんじゃないの」
被告「してないです」
検察官「じゃあ何で女性とだけ事件を起こしたの」
被告「…。互いに鬱(うつ)でいろいろ心が分かり合えたから」
検察官「それでいきなり犯罪にならないと思うけど」
被告「…」
検察官「心が分かり合えた仲ならそんなことしないでしょ」
被告「その通りです」
検察官「事故のことだけど、裁判終わってから事故の遺族への謝罪とか墓参りとかできているの」
被告「…」
《男性検察官はもはや事件の内容でなく、事故被害者の墓参りの有無まで持ち出して蒔田被告の反省の程度を問いつめていく。やや“脱線気味”だ》
検察官「どうなんですか。執行猶予判決になったらそれで終わったと思ってるの」
被告「しばらく海外にいいたので」
検察官「海外にいたからといって、墓参りしないとか非常識じゃないの」
被告「そう思います」
《その後、裁判官が女性の公判供述と違う点や変えた部分があることを確認。次回公判は今月25日に決まり、閉廷した》
=(完)
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