2008年09月02日(火) 00時01分
<首相退陣表明>世論の反発、与党懸念(毎日新聞)
永田町にとり「寝耳に水」となった福田康夫首相の退陣表明は、自民党を激しく揺さぶった。安倍晋三前首相と同じように政権を放り出したことへの怒り、世論の批判を浴びることへの懸念も噴き出した。
首相に近い参院自民党幹部は、辞任会見30分前の段階でも「何も聞いていない」と繰り返した。公明党の支持母体である創価学会幹部は「一体どうなっているんだ」と声を震わせた。
尾辻秀久参院議員会長は午後9時半、国会近くの参院議員宿舎で、待ち受けた記者団と携帯電話のテレビで首相の記者会見を見た。会見が終わると尾辻氏は「納得できないし、理解もできない。全力でぶつかって討ち死にしてほしかった」と怒りをぶちまけた。参院で野党が多数を握る「ねじれ国会」を踏まえ「新しい首相に代わっても、厳しい状況であることは変わらない」とポツリと述べた。
自民党幹部の一人は1日午後10時、首相の辞任会見について「最後まで人ごとだった。自民党が国民の不信を買わないか、心配だ」と表情をゆがめた。
一方で「ポスト福田」に意欲を示してきた麻生太郎幹事長に近い自民党幹部は、「福田さんでは次期衆院選は戦えなかった。これで新たな政権で選挙に臨める」と歓迎する意向を示した。「このまま臨時国会に臨んだところで、与党内で『福田降ろし』の動きが顕在化する。それが首相には耐えられなかったのだろう」と話した。
首相の出身派閥である町村派の中川秀直元幹事長は午後10時ごろ、東京都内で記者団に「とにかく驚いている。首相がそういう決断をした以上、開かれた党総裁選を行い、新布陣を作ることに全力を挙げたい」と述べた。
自民党では麻生氏ら幹部が午後10時すぎから党本部に順次集まり、協議を始めた。笹川尭総務会長は「国会運営一つにしても思い通りにいかなかったんでしょう」と、退陣理由を推し量った。
国会運営を担う大島理森国対委員長も午後11時すぎ、記者団に「残念至極であると同時に、国対委員長として十分貢献できなかったことも無念至極だ」と述べ、「残念だ」と繰り返した。
公明党の太田昭宏代表は同日午後10時10分ごろ、党本部で記者団の質問に答えた。太田氏は首相から午後9時すぎに電話で辞任を伝えられたと明かし「突然のことで正直言って驚いている。重く受け止めて、明日から対処したい」と述べた。
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