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2008年09月01日(月) 22時15分

<首相退陣表明>民主、「麻生氏後任」に恐れも毎日新聞

 福田康夫首相が1日、昨年9月の就任から1年もたたないうちに退陣表明したことに、民主党幹部は「安倍政権に続いてまた投げ出しか」と批判を高め、早期の解散総選挙を求め攻勢を強める強気の姿勢を示した。しかし党内事情からいえば、後任首相が有力な麻生太郎幹事長を相手に総選挙へ臨むことに恐れがあるのが実情だ。「福田さんで総選挙をやってほしかった」(幹部)の本音も漏れる。

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 「総辞職しかありません」「何でだ?」。小沢一郎代表は1日夜、福田首相の緊急会見を知らせる党幹部の電話に、驚きを隠さなかった。小沢氏が党代表選(8日告示、21日投開票)への立候補を正式表明したばかりのタイミングでの退陣表明に、「小沢氏の無投票3選に終わりそうな民主党への嫌がらせでは」(中堅)との憶測も流れた。

 菅直人代表代行は1日夜、都内で記者団に「安倍首相に続く政権の放り出し。自公政権が国民に対して責任を持てないことを自ら証明した」と指摘した。鳩山由紀夫幹事長も党本部で記者団に「政策も国会日程も全部公明党に支配されていることに行き詰まりを感じたのではないか」と述べ、「今からでも解散総選挙に入ってもらいたい」と強調した。

 山岡賢次国対委員長はBS11デジタルの番組「インサイドアウト」で「これではるかに攻めやすくなった」と強気の姿勢をみせた。

 しかし、こうした表面上の反応とは裏腹に党内では、内閣支持率が長期低落傾向の福田首相が相手ならともかく、「麻生太郎幹事長が後任首相になれば、自民党のイメージが明るくなり、現在の民主党優勢の世論にも影響する」と受け止める向きが大勢だ。8月1日に「福田首相・麻生幹事長」体制が発足し、「禅譲密約説」が流れ出したころから、このような警戒感が強まっていた。

 福田首相の退陣表明を受け、ある幹部は「福田さんは早晩辞めるのではないかと思ってはいたが、予想が当たっても、うれしくない」とぼやいた。

 小沢氏は自民党総裁選など与党側の出方を見て、次期衆院選の第1次公認候補決定や、マニフェスト策定作業など、総選挙態勢の準備を加速させる。緊急の課題は次期衆院選マニフェストだ。小沢氏はこれまで自らの代表選と関連づけられることを嫌い、実質的な作業はほとんど進めてこなかったためだ。1日の会見で小沢氏が述べた「21日以降の政権構想とりまとめの作業」を前倒しで進める必要が出てきそうだ。【上野央絵】

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