記事登録
2008年08月31日(日) 01時43分

<大分県教委>採用取り消し21人に通知開始 現場には不安毎日新聞

 大分県の教員採用汚職事件にからみ、県教委は08年度の試験(実施は07年)で不正が確認された教員21人の採用取り消しを決め、30日から通知を始めた。しかし、対象者は今春採用され、学校で教壇に立つようになって既に5カ月がたつ。2学期のスタートを目前に、教育現場からは、生徒や学校運営にどんな影響が出るのか、不安の声が相次いでいる。

 取り消しは▽小学14人▽中学6人▽養護教諭1人。通知は県教委と地方の教育事務所と各地教委の3者で、直接面談して行う。通知後、約1週間で取り消しとなるが、本人が希望すれば、自主退職や同じ学校で臨時講師として勤務することも認める。

 今回の事件の舞台となった佐伯市には、新採の小学教員41人のうち8人が配置されたが、ほとんどがクラス担任を持っているという。同市の武田隆博教育長は「2学期の始業式にいない先生が出る、という事態がないようにしたい。だが、県教委からは情報も指示も少なく、時間がない」と困惑の様子。汚職事件による起訴や処分で、校長や教頭のいない学校が市内に4校あり、頭の痛い2学期となりそうだ。

 新採の教員がいる、ある中学校の教頭は「内容は報道で知ったが、教育委員会からは何も連絡はない。本人に心当たりがあるのかどうかは特に聞いていないが、担任もしているので取り消しになったら困る」と困惑する。

 一方、贈賄罪で起訴された元小学校長、浅利幾美被告(52)の長男は不正に合格したとされ20日、今春から勤務していた大分市内の小学校に辞職願を提出し、取り消しを待たずに学校を去った。後任の臨時講師が既に決まっているが、保護者からは「担任が突然いなくなり、一番の被害者は子供たちだ」などの声が相次いだという。この学校の校長は「若い教員は子供に近い存在で貴重な戦力。学校にもダメージが残る」と話した。

 08年度試験で二次試験で不合格となった県内の男性臨時講師は「末端の教員が首を切られ、不正にかかわった上の人間は軽い処分。これでは、自分がもし救済されても素直には喜べない」と話している。【古田健治、斎藤良太、島田信幸】

【関連ニュース】
大分教員汚職:教諭21人の採用取り消し 不合格者救済も
大分教員汚職:県教委が調査報告書 「チェック機能欠如」
大分教員採用汚職:08年度の成績データ復元ほぼ終える
大分教員汚職:不正採用、審議監関与10年前から
大分教員採用汚職:贈賄被告の長男、勤務先小学校に辞職願

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080831-00000002-mai-soci