2008年08月31日(日) 16時42分
「熱烈優美的芸術」千手観音登場 北京パラリンピック開会式でお披露目(産経新聞)
これぞ熱烈優美的芸術。目や耳の不自由な人で構成した「中国障害者芸術団」(台麗華団長)が、シンクロパフォーマンスの「千手観音」(せんじゅかんのん)を、北京パラリンピック(9月6日−17日)の開会式で披露する。北京オリンピックでは、開会式の美少女口パク騒動や各国のマスコミに配ったCG花火問題などが取りざたされたが、パラリンピックでは、4000年の歴史を誇る中国の本物の重みのある芸術をみせてくれそうだ。(昌林龍一)
【写真】完璧なシンクロ もっと近づいて見てみると…
■一人に見えた
「何人も重なっているのに、正面からみると1人からたくさんの手が出てくる錯覚に陥りました」
日本公演「千手観音−My夢Dream−」(東京厚生年金会館など3カ所、9月19〜10月4日)を前に、7月末に都内で行われたイベントに参加した芸術団。千手観音を演じる聴覚障害の男女21人と聴覚障害男性の歌手1人が、パフォーマンスと中国民謡を披露した。
ステージでは、黄金に輝く観音さまをイメージした衣装を着た聴覚障害の女性12人と男性9人が登場。腕をシンクロしたタイミングで前後左右に動かし、42本の手が円を描いてそろう。10センチほどのきらびやかな付けつめをはめた指先は、京劇の踊りのような繊細な動きをみせた。
一方、歌担当の楊海涛(ヤン・ハイタオ)さん(25)は、高い声で中国民謡「天堂」を熱唱。その後、長渕剛の「乾杯」を流暢(りゅうちょう)な日本語で歌い観客を驚かせた。
■空気の振動で合わせる
「ステージ前に手話先生の指揮と太鼓をたたく人がいます。私たちは音は聞こえませんが、手話と太鼓から出る空気の振動でお互いにタイミングを合わせるのです」
千手観音のメンバー、馮燕玲(フォン・ヤンリン)さん(19)は、シンクロパフォーマンスの秘密を明かす。
手の動きのほかに慈愛に満ちた観音さまの雰囲気を出さなければいけないフロント担当の魏王潔(ウェイ・ユイチエ)さん(16)は「プログラムの内容に合わせて表情を作り目から指先まで気を入れます」という。
芸術団員は全員が同じ寄宿舎生活をし、勉強の時間が終わったあとに毎日8時間の練習をする。千手観音のほかに、中国の人気歴史小説をモデルにしたバレエ舞踊劇「化蝶」、楽器演奏「風情組曲」など20を超すプログラムがあり、世界ツアーで披露している。
日本の印象については、「東京をはじめ大都市でも空気がきれい」(魏さん)と驚いてた。
■公演中はカロリー制限
「公演中は太らないようにカロリーの高い食べ物は禁止されています。私の好きなケーキが食べられないのが一番の悩みかな」と笑う16歳の魏さん。
中国障害者芸術団は、国内に約6000万人いる身体障害者に芸術への参加の喜びを持たせようと国家機関の障害者連合会を基盤に1987年に設立。
現在は国の支援を受けながら、公演で収入を得るプロ歌舞団として活動。アテネパラリンピックの閉会式で千手観音を披露、世界に中継されたことでその名が世界に広がった。
芸術団の演出家で「千手観音」パフォーマンスの創作者、張継鋼(チャン・ジーガン)氏は、北京パラリンピックでは執行総監督に任命された。
魏さんらは「アテネでは千手観音だけの披露でしたが、今回は他の演目も披露するかもしれません」とほのめかした。さらにパワーアップしたパフォーマンスがみられそうだ。
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