民主党の渡辺秀央元郵政相と大江康弘、姫井由美子両氏(いずれも参院議員)が二十八日、離党届を提出し、無所属の荒井広幸、松下新平両参院議員とともに新党「改革クラブ」を結成した。代表には渡辺氏が就き、幹事長には荒井氏が内定した。現時点では新たに同調する議員は出ていない。二十九日午後に国会近くの憲政記念館で記者会見し、見解を表明する。
渡辺氏らは「参院の状況は憂いに堪えない」と小沢一郎民主党代表の党運営への反発を離党の理由に挙げた。臨時国会では、政府が提出予定の新テロ対策特別措置法改正案などに賛成し、与党寄りの路線を取る方向。民主党内では「予想されたメンバー」(中堅議員)との見方が大勢だが、民主党にとっては打撃だ。
民主党の小沢氏や鳩山由紀夫幹事長ら幹部は対応を協議。渡辺、大江、姫井の三氏が提出した離党届を当面預かり、九月の代表選後に発足する新執行部が判断する方針を決めた。
鳩山氏は会合後、党本部で記者団に「大変な背信行為だ。道義的に考えれば議員辞職が筋だ」と批判。菅直人代表代行も渡辺、大江両氏が参院選比例代表で議席を獲得した経緯を指摘し「議席を党に戻した上で行動すべきだ」と述べた。
福田康夫首相は二十八日夜、記者団に「政策や考え方で同じ方向ならば協力していける」と期待感を表明。ただ新党が与党と共同歩調を取っても、参院での与野党逆転による「ねじれ」状況は変わらず、与党は過半数ラインに十二人届かない。
渡辺氏らはかねて「道路特定財源の改革をめぐる議論以来、党執行部に不信感がある」(大江氏)と周辺に漏らし、参院会派「自民党・無所属の会」に所属する荒井氏が離党を働き掛けていた。渡辺氏らは、民主党参院側を中心に同調者を募る考えだが、執行部は引き締めを図っている。
今回の離党で、民主党が国民新党などとつくる参院統一会派「民主党・新緑風会・国民新・日本」は百十七人に減るが、共産党七人、社民党五人を加えれば、引き続き過半数を維持する。