2008年08月29日(金) 13時30分
ドーハラウンドって何を決めているの?(R25)
7月末頃、新聞の経済欄で取り上げられていた「ドーハラウンド」。世界貿易機関(WTO)加盟国が集まって、議論していたらしいけど、結局決裂してしまったみたい。何を交渉していたの?
「ドーハラウンドは、各国の通商担当者が、農産物・鉱工業製品の関税引き下げや、ダンピング・補助金規制などについて議論する場です。95年にWTOが設立され、多国間貿易のルールが定められました。しかし貿易をより自由化し、ルールを時代の変遷にあわせるために、開催を決めたのです」(川瀬剛志上智大学教授)
でも、そもそもなぜ多国間の貿易交渉が必要なのだろう?
「関税を下げ、公平なルールによって自由貿易が進めば、世界全体の経済が安定・活性化します。しかし、各国は、国際競争力のない国内産業を保護するために、海外からの安い輸入品は入れたくない。その一方で、国際競争力のある商品の輸出はできるだけ増やしたいので、貿易相手国に自由化を求めます。日本でいえば米などの農作物が前者で、自動車などの工業製品が後者です。輸出する側、輸入する側どちらの立場になるかで主張が入れ替わるため、利害を調整する場が必要になるんです」(同)
ところが、153もの国と地域が参加していたため、交渉期限が何度も延長されたあげく、交渉は暗礁に。
「とりわけインドや中国は、新興国ながら資源が豊富で経済成長率も大きいため、アメリカ相手の交渉にも強気で挑むことが多いのです。インドはアメリカから農産物・工業製品の関税引き下げを求められましたが、逆にアメリカの国内農業への補助金削減を主張しました」(同)
主要国の政治日程がからみ、本格的な交渉再開は来年以降になる見通し。川瀬教授によれば、WTOにはしっかりしたルールと、貿易紛争を処理する手続きが整備されているため、今回の決裂で大きな問題は発生しないとのことだが、交渉がまとまる気配はまだ見えていないようだ。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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