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2008年08月28日(木) 17時00分

台所からの音と味噌汁の匂いで目覚めたころオーマイニュース

 台所からトントントントンと包丁の音が聞こえてくる。そして仄(ほの)かに匂(にお)ってくる味噌汁の香り。

 各部屋は障子1枚の小さな家屋だっただけに寝てる部屋まで台所の音も匂いも筒抜けでした。

 そして、これが幸せを感じる朝の始まりでした。

 昭和30年代の子供のころの朝は、毎日こうしてやってきた。ご飯と味噌汁と卵だけの質素な朝ごはん。

 小さなちゃぶ台を家族全員で囲み朝ごはん。卵は、1つだけ。しょうゆをたっぷりかけて家族全員でわけてご飯にかけていました。

 それでも充実した満足な朝ごはんでした。

 6畳間に家族全員が川の字で寝ていた時代。まるでキャンプでのテント状態です。今の子供たちには、想像できない光景でしょうね。

 それでも、「貧しいながらも楽しいわが家」でした。

 ほどんどの家族がこのような生活をしていたのです。今は、家屋も大きくなり、台所の音も匂いもシャットアウトできる作りになりました。

 生活観のある音が家中に響き渡ることも少なくなってきました。見ることもないテレビが音を出していたり、携帯に熱中する子供たちがいたり、あのころには想像すらできない生活を営む社会となってしまったのです。

 文明の発達とは、こういうことだったのでしょうか?

 便利さと交換に何か大切なものをなくしてしまったような気持ちになってしまいます。

 そして今、経済発展の飽和とともに終身雇用制の崩壊とニートの増大。川の字生活の経験のない若者たちは、さらに孤立化して人生の目標すらなくしてしまうという時代になろうとしています。

 飽食・贅沢(ぜいたく)の時代から質素・倹約の時代へと突入してしまっていることは否めません。

(記者:東 孝太郎)

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