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2008年08月28日(木) 11時26分

ひょっとして私、究極の負け組!?〜亀山早苗コラムオーマイニュース

 「やっぱり女としての究極の勝ち組は、結婚して子どもがいるっていうことですよねえ」

 35歳の江梨子さん(仮名)は、あるときしみじみとそう言った。

 「次が恋人がちゃんといて、定期的にエッチしてる人。女としていちばんダメなのは、恋人いない歴が5年を越えているようなタイプじゃないでしょうか、私みたいに」

 結婚していて子どもがいても、決して幸せな結婚生活を送っている人ばかりではない。定期的にエッチする恋人がいたって、それは同様だ。江梨子さん自身、そんなことはわかっている。それでも「自分と比べれば」相手がいるというだけで幸せなのだと断言する。幸せというのは、その程度の尺度なのだろうか。自己実現とは無関係? 恋人や夫の有無で、何もかも決まってしまうのだろうか。

 「私には仕事がありますけど、仕事って幸不幸とは何の関係もないんじゃないかと最近、思っちゃうんですよ。完璧にやって当たり前、不備があれば後輩の分も責任とらされて。個人としての私が評価される場は、本当は恋愛なんじゃないか。でも評価されていませんけどね」

 どうしても結婚したいとは思わずに、ここまで生きてきた。だが、周りはどんどん結婚していく。第二子誕生の話も聞こえてくる。焦りが高じて、昨年、結婚相手を探してくれる紹介所に登録してみた。

 「だけど私の年だと、相手はバツイチだったりする。これから出会って結婚を決めて、ということを考えると、出産だってぎりぎりですよね。そうなると、結婚市場ではすでに求められていないんです。自分の市場価値というものを初めて思い知らされました」

 それでも数人と会ってみた。相手はみな、「とにかく結婚したい男性たち」で、江梨子さん自身の人となりをじっくり知ろうとする男性はいなかった。

 「親と同居はできますか、家事は好きですか、結婚しても仕事を続けるんですか、と条件ばかり尋ねられて。一緒に歩いていくという姿勢じゃない。まあ、結婚ってそういうものなのかもしれないけど」

 ため息をつき、江梨子さんは続ける。

 「結婚なんていつの間にかできるものだと思っていたんですよ。だから30歳になっても焦らなかった。そのころは仕事がいちばん楽しかったし。だけど、30 代後半に入ったとたん、人生何かが違う、と思い始めたんです。独身で生きていくなんて寂しすぎる。かといって、恋人になれるような人とは出会えない。男友達は多いのに、みんな友だち止まり。このまま家族がもてなかったら、私は何のために生きているのかわからない、というくらい追いつめられてしまって……」

 追いつめられているのに、結婚は結婚、見合いでもいいという気にはなれない。「恋愛して結婚するのが当然」だと育ってきた世代なのだからしかたがない。

 「祖母は見合いで結婚したんですが、結婚当日まで相手の顔さえ見たことない、と。それでもうまくいってしまうものなのかと思う半面、私にはやっぱり無理。条件づけされただけでむかっときちゃいますからね。自分を捨てるのか、このまま独身でいくのか。どちらかしか生きる道がないのかなと思っています。どっちにしろ諦めがつかないんですけどね。このまま最悪の負け組道を驀進する気にもなれないし」

 勝ち組、負け組という言い方、考え方からは脱却したほうがいいのではないだろうか。人生に勝ちも負けもありはしない。

 「今になって、男より仕事だなんて思ってやってきたことが間違っていたと認めるのはつらいけど、でも、それが今の正直な私の気持ちなんです。家族がいて、マイホームを得て、きちんとした日常生活を送りながら年をとっていく。そういうごく普通の暮らしがいちばんだって、今さらながら気づいた。だけどそうしたい相手がいない。これが究極の負けでなくて何なんですか」

 江梨子さん、最後はけんか腰の勢いだ。実際、人生は思い通りにいかないと悩んでいる30代女性はものすごく多い。自分にとって何が大事なのか、そのためには何をしたらいいのか。それを考え始める時期なのかもしれない。

(記者:亀山 早苗)

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