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2008年08月26日(火) 13時59分

「泥メンコ」収集家に話を聞いた(2)オーマイニュース

1からのつづき

───泥メンコ拾得に至った経緯を教えてください。

吉田瑜享氏: 見つけたのは偶然でしたが、それを砂が付いたまま握り締めた時の動悸は、今でも鮮明に覚えています。旭硝子OB会の『旭友会だより』第61号にも寄稿しましたが、見つけた後、中谷宇吉郎の『江戸時代のめんこ』という本を読んだので、存在について納得できました。

 収集マニアとしての自負は大学時代からありました。整理や額装をしたのは、退職してからです。考証については、自分でしたというより、当時から都度、新聞などに注意深く目を通していました。例えば、1977年1月20日付の『朝日新聞』には「暮らしの沿線 房総スコープ 粘土製面子1枚発見」といった記事があります。

 収集家のランキングとしては、横綱級と言えばあつかましいでしょうが、関脇級とは言いたいですね。稲毛を中心とする地域に限って言えば、横綱級と言わせてもらえるかも知れません。

───泥メンコについて記述している歴史資料にはどんなものがありますか。

 系統立てて整理されている資料のピカイチは、市川歴史博物館の『泥めんこ資料集:昭和58年発行』です。A4版26頁(350円)です。遊び方、作り方、分類、千葉県内分布状況および参考文献などが詳しく載っています。

───面型には実際の武士や商人が出てこないようです。実在の職業を具体的に模した面型はほとんどないのではないか、と想像しますが、いかがですか。

 鞍馬天狗風な武士の面型はあります。今回の私の展示品には含まれていませんが。

───収集家として、メンコの絵柄を同定することに興味をお持ちのようですね。

 面型の呼称は全くの思いつきで私がつけたもので、権威はありません。ただ個人的には、作る人がなんでも思いつくままに作ったような気がしています。不特定多数の作者がいてそれぞれ思いつくままに作ったものと思われるので、いくら考証しても、全てを追いきれないでしょう。

───子供たちの遊びの場面では、どの面型は、どの面型よりも強いというような、強さの序列があったに違いないと想像するのですが。

 そこまで考えたことはないですね。

(全3回、つづく)

(記者:雨宮 文治)

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