2008年08月25日(月) 12時00分
日本が誇る打ち上げ花火のハイテク進化論を垣間見た(R25)
夏の風物詩である花火大会。テレビなどで見る打ち上げ筒に火種となる花火玉を投げ入れる仕草はまさに職人芸だ。しかし最近では、あの独特の打ち上げ方は減り、代わりに電気点火方式が増えているのだとか。いったいどんなメリットがあるのか、数々の花火大会を手がける丸玉屋の小勝社長に聞いてみた。
「花火玉を筒に投げ入れる点火方式を“早打ち”と呼ぶのですが、電気点火式は早打ちより音楽や花火同士のタイミングを合わせやすいんです。広い会場で十数カ所から一斉に打ち上げる場合は、電気点火式でないとタイミングを合わせるのは難しいですね」
テーマパークの花火ショーも電気点火式でタイミングを合わせるんですか?
「音楽や照明、噴水、レーザーなどに合わせて花火が打ち上がるのは、事前にそのタイミングと花火の点火プログラムが連動するようにコンピュータに打ち込んでおくから。ここ10年くらいで格段に進歩した技術です」
なんと、0.03秒以下のタイミングで連動させることも可能というから驚きだ。
「ただ、打ち上げ全部にコンピュータを使うわけではありません。うまく挿入することで、花火大会の構成に深みを作るんです。大玉の打ち上げは、会場の盛り上がりを見て、タイミングよく人間が電気で点火します」
そして、電気点火式の普及にはもう一つ大きな理由があった。
「安全性の向上です。“早打ち”には花火師の潔さがありますが、筒に近づくので事故の危険性が伴います。その事故を防止するため、遠隔操作ができる電気点火式が用いられるようになりました。経済産業省の『平成14年火薬類危害予防週間実施要領』にも“遠隔操作による点火方法の普及を推進する”とあり、普及の一因となりましたね」
安全性の追求が結果的に表現の幅を広げたってことか。ちなみに、10分間約1000発のショーのプログラムを打ち込むのに40時間はかかるとのこと。人生も花火大会も“大きな花火”を打ち上げるには、地道な努力が必要ってことですな。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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