2008年08月25日(月) 12時00分
『P2P地震情報』が注目される理由(R25)
いま、『P2P地震情報』というフリーソフトが一部で話題になっている。全国のユーザが体感した地震情報を集約するソフトだ。
P2P(Peer to Peer)とは、コンピュータ同士が相互に接続され、情報を送受信できるシステム。P2Pに詳しいアリエル・ネットワーク取締役の井上誠一郎氏は「P2Pであれば、災害時にサーバがダウンしても情報交換が可能。災害情報の交換に利用した着眼点は素晴らしい」という。
同ソフトを開発した兵庫県在住のプログラマー・たくや氏はきっかけをこう語る。
「私は兵庫県在住ですが、4年前に起きた東海道沖地震の際、揺れが収まるとともに寝てしまったんです。しかし、じつはその直後に津波警報が発令。もし、自分の住むエリアでの地震や警報だったらと思うとゾッとしました」(たくや氏)
彼は地震に関する専門家ではないが、独学で勉強して完成にこぎ着けた。これを自サイトで公開したのは同年12月。また、今年4月まで1500人程度だった利用者数は、このところの大規模地震頻発の影響か、現在3500人を超えるという急増ぶりだ。個々のユーザが書き込むテキスト情報はマッピングされ、揺れの報告が震源地から波紋のように広がるのと同時に警報音を鳴らしてくれるのが特徴。また、付属の掲示板ツールでコミュニケーションを取ることも可能だ。
これって、もしかしてテレビのテロップなどで流れる気象庁の速報より早い?
「揺れた後に出る『震度速報』と比べればいい勝負。しかし、『緊急地震速報』の方はさらに迅速です」(東京大学情報学環総合防災情報研究センター・鷹野 澄教授)
あまり目にする機会はないが、『緊急地震速報』とは弱い揺れのP波を検知して大きく揺れる前に気象庁から配信されるものだ。
一方で、鷹野教授は『P2P地震情報』を「災害時の市民ネットワークの構築や防災意識を高めるために有用」と評価する。
地震災害時の草の根ネットワーク。今後の成長に注目したい。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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