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2008年08月21日(木) 12時26分

「五輪は重石」、インフレ鎮静化も中国株相場に追い風サーチナ・中国情報局

北京五輪後の中国株、短期的には有望 第2回

 13億人の「100年の悲願」が実現し、華々しく開催された北京五輪。しかし中国株相場は五輪開催中も低迷が続いた。「五輪開催は、中国経済や中国株相場にとっては重石となった。むしろ、五輪終了後の向こう2−3カ月の中国株相場は期待できるかもしれません」と語るのは、岡三証券の西胤智(にしつぐさとし)シニアストラテジスト(投資戦略部アジア情報室長)。その根拠と、今後の有望銘柄などについて聞くシリーズの第2回。


——北京五輪後、中国の成長重視政策が本格的に動き出せば、マーケットも好感して中国株相場が勢いづく可能性はありそうですね。

 そのほかに、中国のインフレが明らかに鎮静化に向かっていることも好材料となるかもしれません。中国のCPI(消費者物価指数)は6月が7.1%、7月が6.3%と目に見えて物価高が減速しています。足元を見ても、8月上旬の中国の穀物市況や豚肉相場は急落しています。夏に続いて、秋の穀物の収穫も大豊作が見込まれているからです。インフレの大きな要因であった穀物と豚肉相場の上昇が抑え込まれたことで、8月のCPIは6%を割り込む可能性もあります。

——インフレ緩和だけでも、中国株相場にとっては大きなプラス材料だと思うのですが。

 それでも中国株相場が低迷しているのは、前回も述べたように北京五輪が重石になっていたとしか考えにくいのです。

 8月末に発表のピークを迎える中国企業の中間決算はおそらく、よくも悪くもない状況だと思いますので、北京五輪の終了、インフレ緩和、経済成長の鈍化が企業業績に影響することへの懸念の解消という好材料が重なり合って、10月ごろに向けての中国株相場は比較的、好調に推移するのではないかと見ています。

——10月までの相場は期待できる一方で、長期的な見通しは不透明だということですね。

 前回、今年のハンセンH株指数の上値は1万5000ポイント台になる可能性があると申し上げましたが、それが早ければ10月ごろに付けて、今年の高値になってしまう可能性もあります。そこから先は、米国と欧州の状況次第ですね。

——原油相場はこのところ調整局面にありますが、中国経済や中国株にどのような影響をもたらすでしょうか。

 仮に原油相場が1バレル=100ドルを割り込むような状況になれば、石油企業の収益力を改善するために、ガソリンやディーゼル油に対して行われている価格統制が緩和されることになるかもしれません。しかし、値上げされれば需要は相当下がるはずですから、石油セクターの株価にプラスに作用するとは言い切れません。

 また、中国のインフレ率が6%を割るような状況になってくると、ガソリンやディーゼル油に限らず、これまで価格統制されてきた即席めんや牛乳、鉄鋼、石炭などへの統制が順番に外されることになると思います。これらのセクターの株価は上がる可能性があります。(文責:サーチナ・メディア事業部)

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