2008年08月13日(水) 08時00分
企業物価7.1%上昇 7月 最終製品み波及も(産経新聞)
後退局面入りの濃厚な景気をさらに悪化させる懸念が強まってきた−。日銀が12日発表した7月の国内企業物価指数(速報、平成17年平均=100)は112・0となり、前年同月比で7・1%上昇。第2次石油危機の影響が残っていた昭和56年1月(8・1%)以来、27年半ぶりの高い伸びを記録した。原油など資源価格が高水準で推移していることが主因だ。コスト上昇分を製品の価格に転嫁する動きもじわりと広がってきており、消費者物価の一段の上昇を招く恐れも大きい。
7月の企業物価指数は前月比でも2・0%上昇し、55年4月(3・1%)以来の高水準。前年同月比を上回るのは53カ月連続、前月比も10カ月連続のプラスとなった。品目別でみると、7月に一時1バレル=147ドル台を付けた原油高の影響を直接受ける石油・石炭製品が前年同月比43・6%と大幅に上昇した。鉄鋼も自動車メーカーなどとの鋼材価格交渉が大幅な引き上げで決着したことで26・7%の伸びとなった。
鋼材価格の上昇を受け、普通トラックなど輸送用機器が0・9%上昇したほか、加工食品や化学製品なども軒並み上がり、原材料高を製品価格に転嫁する動きも広がっている。ただ、産業の「川上」に位置する原材料が48・6%も上昇したのに対し、「川中」の中間製品が9・3%、「川下」の最終製品は1・6%の上昇にとどまる。
製品への価格転嫁は「テンポが鈍く、不十分。コスト増が企業業績を圧迫している状況は、まだ解消されていない」(農林中金総合研究所の南武志主任研究員)のが実情だ。
一方で、原油価格は7月中旬以降大幅に低下しており、物価上昇圧力の緩和も期待される。しかし、原油価格の下落が続いても「企業物価の伸び率が鈍り始めるのは10月以降になる」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方が支配的だ。当面は価格転嫁の動きが進み、企業物価は高水準で推移する可能性が高い。
このため生活必需品の値上げがさらに広がり個人消費が萎縮(いしゅく)、景気が一層冷え込む懸念もぬぐえない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080813-00000055-san-bus_all