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2008年08月12日(火) 11時07分

“悪くなかった”日本代表に対するマスコミの冷たさオーマイニュース

 北京オリンピックのサッカー日本代表はナイジェリアと対戦し、1-2で敗れた。これにより、予選敗退が決定した。

 個人的な感想は、日本代表の戦いぶりは悪くなかった。

 「引き分けなら可能性が残るが、予選突破は難しい」という状況において、日本代表は0-0の引き分け狙いの試合運びをするわけはなく、また反町監督の考えにはなかった。

 当然、日本は得点を取りに、攻撃的に戦った。ただ、このチームは(日本代表全般に言えることだが)、“得点を取れないチーム”だ。

 必然的に人数をかけて攻撃するしかない。

 ところがやはり、というか残念なことに得点はできず、アルゼンチン戦、アメリカ戦と同様に前半は0-0でしのいだものの、後半に先制点を取られてしまった。

 ここで日本代表は追い込まれてしまった。さらに得点を取りに行かなければならず、前のめりな戦いになる。その状況の中、中盤でパスカットされ、カウンター攻撃をされたら、当然失点してしまう。この2点目は、取られても仕方のない点だった。

 そして、待望の得点を決めることができたが、これもナイジェリアGKが、2-0となり気が緩んだ結果、ミスキックをしたために取れた1点だ。日本の得点にケチをつけるつもりはない。むしろ、相手のミスを見逃さず、きっちり得点できたことを評価したい。

 あくまでのこの試合、この大会の敗因は「得点できなかった」攻撃力だ。

 両サイドバックの内田、安田により、チャンスを作り出すことはできていた。しかし、最後のシュートの精度が欠けていた。また、攻撃のパターンが少なかった。中盤からの両サイドへのロングボールがほとんどで、「ドリブルで相手を崩す」というものがなかった。

 ナイジェリアの1点目のように、相手ゴール前での細かいパスまわしが必要ではないだろうか。

 一度、くさびでボールを折り返す、という良いパターンがあった。今後はこういった攻撃パターンを増やし、最後にシュートまで持っていくことが必要だと思う。また、ミドルシュートも多く打ち、精度を上げることが必要だ。本田圭佑が1本、良いミドルシュートを放ったが、ほかのシュートは精度も威力もなかった。良いミドルシュートを打ち、警戒させることも、相手ディフェンスを崩すために必要だ。

 とはいえ、この試合、日本代表は持っている実力を出せていたし、気持ちも出せていた。敗れたのは実力差であり、予選突破すら難しいことは大会前から分かっていた。

 この日本代表に対し、翌朝、マスコミの反応は冷たかった。ほかの競技でメダルを獲得した選手の映像を繰り返し放送し、サッカーは結果すらほとんど報道されなかった(放送はしただろうが、個人的には聞かなかった)。

 始まる前はやみくもに「がんばれ」と「メダルを期待」を繰り返し、結果が出ると、メダル獲得者を異常に持ち上げ、敗者は無視。

 もちろん勝者は称賛され、敗者にかける言葉がないのは当たり前だが、テレビは露骨すぎるし、その競技について何の知識もないであろうキャスターやリポーターが、過剰に期待し、そして、はしごをはずす光景は非常に不愉快である。

(記者:白石 竜次)

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