2008年08月11日(月) 11時13分
五輪開会式当日の北京の街は……(オーマイニュース)
北京に住んで約1週間。ようやく北京オリンピックの開会式の日、8月8日になった。スタジアムに入れるわけでもない記者は、とりあえず街の様子を見にくりだした。
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■公安に尾行されてみた
共同通信などによると、五輪期間中、北京市内の公園3カ所に「集会・デモ専用区域」が設置されるという。そのひとつが、天安門から地下鉄で2駅のところにある、日壇公園だ。
午前中、同公園に行ったPJニュース編集長・小田光康さんとフリーカメラマンの吉川忠行さんが、「公園で公安(警察)に尾行された」と教えてくれた。そこで記者も公安に尾行してもらおうと思い、日壇公園に行ってみた。
カメラバッグと一眼レフを担いで公園に入ると、係に「ジャーナリストか?」と尋ねられた。なんとなく「いや、ツーリストだ」と答えてみた。その後は、園内を散策している最中、ずっと尾行つきだ。記者は、彼らに「お前、公安か?」と尋ねるくらいの中国語はわかるが、残念ながらその度胸がない。尾行してもらえただけで満足しておいた。
同様に、デモが許されているとされる別の公園にも行ってみた。北京動物園の隣にある紫竹院公園だ。こちらもデモなどの気配は一切なし。地元民とおぼしき人々が池でのんびり釣り糸を垂らしたり、観光客がボート遊びをしたり。ここでは尾行すらつかなかった。
■デモの気配なし
開会式のこの日、上記2つの公園以外も、街中は警官の姿でいっぱいだ。比較的大きな地下鉄駅の周辺などは、ほとんど数十メートルごとに警官が並んでいる。五輪を前にした盛り上がりどころか、ものものしさしか感じない。
五輪直前の盛り上がりが感じられたのは、天安門周辺くらいだった。大量の中国人が中国旗を手に持ち、「中国加油(中国がんばれ)」「I Love China」などのTシャツを着たりシールを顔や腕に張ったりしている。
数日前に自転車で通りかかった際にはほとんどいなかった外国人の姿も、この日は多く見られた。
メインスタジアム「鳥の巣」は、前日までは運行されていたバスがなくなり、前日までだれでも通ることができた道路も封鎖。スタジアムに入れない一般の人は、周辺でスタジアムを眺めることもできないようだ。
■大手メディア気分で開会式をじっくり鑑賞
通訳のKさんに、開会式の時間帯をどう過ごすつもりなのか聞いてみた。
「天安門のあたりで花火が上がるので、それを見に行くかもしれないが、家のテレビで開会式を見るかもしれない。おそらく大半の北京市民は、そんな感じだと思います」
そこで記者も“自宅”に戻ることにした。帰宅するとルームメイトの小田さんも、すでに戻っていた。
「なんかつまんなかったから、帰ってきちゃいました。開会式はテレビで見ます」(記者)
「それがいいよ。どうせメディアセンターに入ってる大手マスコミの連中だって、モニターで見てるんだから」(小田さん)
■開会式中の天安門前はぐだぐだ
というわけで、大手メディアと同じ気分で開会式を鑑賞。途中、開会式中の天安門に行っていた吉川さんが戻ってきた。
「天安門広場で花火が上がると聞いていたのに、ほんの数発だけ。これから始まるという合図かと思ったら、それで終わりでした。子供連れで来ていた中国人も当惑していた。開会式の様子が見られるモニターなどがあるわけでもないので、その場の人たちは状況が何もわからない。だから花火が終わって15分くらいしたら、みんな、なんとなく解散しちゃってましたよ」(吉川さん)
どうやら、開会式の“マスゲーム”が始まった頃には、天安門周辺の盛り上がりも冷めてしまっていたようだ。
「盛り上がりと言うより、大量の人が天安門前にたむろっていただけ、という感じ。それでいて混雑がひどかったせいか地下鉄駅が閉鎖されて、帰りは2駅分も歩かされた」(吉川さん)
スタジアムの外で最も盛り上がっていたと思われる天安門前も、意外とぐだぐだだったようだ。もちろん、テレビのなかに映るスタジアムの中は盛り上がっていた。
(記者:藤倉 善郎)
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