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2008年08月09日(土) 01時47分

<グルジア>一気に緊張高まる…ロシア強硬毎日新聞

 【モスクワ大木俊治】グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州を巡る紛争は、グルジア軍の進攻に対しロシアが対抗措置に出たことで、一気に緊迫の度を強めた。5月に就任したばかりのメドベージェフ露大統領は国民に断固とした姿勢を見せる必要に迫られている。一方、北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すグルジアのサーカシビリ大統領も、進攻は欧米の信頼を損なう恐れがある大きな「かけ」だといえる。

 メドベージェフ大統領は8日、「犯罪者は罰せられなければならない」とグルジア側を強く非難した。現地に駐留するロシア平和維持軍に犠牲者が出たほか、独立派が支配する南オセチアの住民の大半がロシア国籍を取得していることなどから、強い姿勢を求めるロシア国民の声に応え、国内の政治基盤を固める必要があった。大統領の後ろ盾である強硬派のプーチン首相(前大統領)が五輪開会式出席のため北京訪問中だけに、弱腰では「独り立ちできない」と見られる恐れもあるからだ。

 一方、グルジアはカスピ海の石油をロシアを回避して欧米へ輸出するルート上にあり、欧米にとって中東とロシアをにらんだ戦略的に重要な位置にある。8日の国連安保理協議でも、グルジアに停戦を求めるロシアの声明案が採択されず、欧米が依然としてグルジア寄りであることを見せつけた。

 グルジア軍の南オセチア進攻のタイミングについては、国際的な関心が五輪開会式に集まるのに合わせて実施したとの見方が出ている。ただ、国際法に基づく「グルジア国家の一体性」を訴えて欧米の理解を求めてきたサーカシビリ大統領にとっても戦闘が泥沼化すれば、目指すNATO加盟に黄信号がともりかねない。またNATOといえども、グルジアを支援してロシアとの「代理戦争」に踏み切る可能性は低い。

 グルジア軍の攻撃に対しては、南オセチアに隣接する同じ民族でロシア連邦内の北オセチア共和国や、グルジアから同じく分離独立を求めるアブハジア自治共和国の独立派勢力が義勇兵を派遣し、グルジアと闘う姿勢を見せている。再燃した南オセチア紛争が、カフカス全体に飛び火する懸念もある。

 ◇南オセチア紛争

 南オセチア自治州は90年代初め、独立派がグルジアとの戦闘を経て州都など大半の地域で実効支配を勝ち取った。しかし、国際的には独立は承認されず、92年にロシア、グルジア間で和平合意がなされたものの、以後も散発的な衝突が続いた。南オセチア自治州内にはロシア平和維持軍が駐留し、自治州政府の後ろ盾となっており、グルジア側は国際的な平和維持軍への置き換えを求めている。南オセチアの住民約7万人のうち、7割弱がオセチア人、3割弱がグルジア人とされる。

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