2008年08月08日(金) 11時50分
日本紅斑熱にご注意を!〜宮崎市で70代の女性が死亡(ツカサネット新聞)
8月1日、山林でマダニに刺された宮崎市内の70歳代の女性が、感染症の「日本紅斑(こうはん)熱」を発症し、多臓器不全により死亡した。
日本紅斑熱とは、あまり聞き慣れない感染症である。
感染症発生動向調査週報(IDWR 2002年第25週号)によると、「紅斑熱群リケッチア症」は、広く世界に分布し、北米大陸にみられる「ロッキー山紅斑熱」、地中海沿岸にみられる「地中海紅斑熱」、オーストラリアにみられる「クインズランドダニチフス」などが代表的なもので、日本では1984年に徳島県で患者が初めて報告され、「日本紅斑熱」とよばれるようになったとのことである。
日本紅斑熱は、紅斑熱群リケッチアの一種である「リケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)」を病原体とし、野山に入りマダニに刺されることにより感染する。
日本紅斑熱の発生地域は、鹿児島県、宮崎県、高知県、徳島県、兵庫県、島根県など西日本を中心としていたが、和歌山県、三重県、神奈川県、千葉県、広島県、長崎県、静岡県でも発生している。
宮崎県内でも毎年数件発生しているが死亡例は今回が初めてで、全国的にも異例ということである。
8月2日付け西日本新聞によると、今回死亡した女性は、7月10から15日ごろ、宮崎市内の山林を3回ほど散策し、腰と足の指の間をマダニに刺された。18日に高熱を訴え診療所を受診。発疹(はっしん)など症状が悪化したため入院したが、25日に死亡した。
症状としては、上記のように頭痛、発熱、倦怠感を伴って発症し、潜伏期は2〜8日である。日本紅斑熱はツツガムシ病と似ていると言われるが、ツツガムシ病の潜伏期は10〜14日と若干長いこと以外は、ツツガムシ病との区別が難しいようである。
今回は、宮崎県衛生環境研究所が、血液検査を行ったところ、日本紅斑熱と確認したとのことである。
さて、このようなことが起きると、人から人に感染しないだろうかと心配になるが、日本紅斑熱は、人から人への感染はないとのこと。薬剤などによる治療で回復するが、肝機能障害などの重症化もあるという。
農作業や山林作業時だけではなく、夏休みにキャンプや山歩き等で山林等に入る場合は、要注意である。
マダニに刺されないようにするためには、長袖のシャツや長ズボンで肌の露出を少なくしたり、防虫スプレー使用したりするなどの対策をとる必要があるだろう。
参考:
◆
感染症発生動向調査週報(IDWR 2002年第25週号)
◆
8月2日付け西日本新聞
(記者:冴羽涼)
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