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2008年08月08日(金) 21時13分

真の国際化へ脱皮なるか=成熟促す五輪効果〔五輪・開会式〕時事通信

 【北京8日時事】第29回夏季五輪が8日、北京で開幕し、「中華民族100年の夢」がついに実現した。東京、ソウルに続いてアジアで3回目。大国への道を歩む中国にとって歴史的な1日だ。国際社会との間で価値観の衝突とも言うべき摩擦を繰り返してきた中国が、五輪を契機に真の国際化に踏み出せるか注目される。ちょうど100年前の1908年、天津の新聞が五輪招致を初めて提唱した。当時は列強の圧迫を受けた清朝末期で、五輪など夢物語だった。新中国成立後も混迷が続き、五輪に正式参加できたのは改革開放路線が軌道に乗った後の84年。まだ24年前にすぎない。この間に中国は飛躍的発展を遂げ、2度目の挑戦で2001年に北京招致に成功。開会式には米大統領を含む80カ国以上の首脳らが参集するまでになった。東京やソウルがそうだったように、国力の向上ぶりが印象づけられよう。ただ、五輪開催への環境は順調ではなかった。人権、民主、チベット問題などをリンクさせがちな西側に対し、中国は「五輪の政治化」と反発し、一時は排外的ナショナリズムが高揚。内でも社会矛盾に抗議する住民の暴動が相次ぎ、民族問題に絡むテロも発生した。胡錦濤国家主席は「平和を愛する中国人民のイメージを世界に示したい」とし、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長も「中国が世界を、世界が中国をもっと理解するようになる」と語った。五輪を機に、両者の相互信頼が増すことが期待される。国内でも「五輪を通じて公民精神がはぐくまれる」(中国紙・新京報)と、中国市民の成熟という五輪効果が指摘されている。「国際社会との友好より、むしろわれわれ自身を変化させることが五輪の目的だ」との主張もある。北京五輪は「スポーツの祭典」をはるかに超え、中国にとって極めて重要な意義を持つ。改革開放30周年の年に開かれたこの五輪は、中国の進路を左右する分水嶺(れい)となる可能性がある。(了)

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