道路からの写真をネットで見られる「ストリートビュー」が話題を集めている。Googleが5日から開始した新サービスで、国内主要都市の道路をカバー。ただし一般民家や街頭にいた人の写真が見られることもあって、プライバシー侵害ではないかという声も上がっている。(テクニカルライター・三上洋)
自宅は写ってる?Google「ストリートビュー」Googleの「ストリートビュー」は、道路から撮影したパノラマ写真を、地図サービス「Googleマップ」上で見られる機能だ。主要都市の道路から見える風景を、ネット上で見られるとあって大きな注目を集めている。Googleによると「今までに例がないほどトラフィックが急増している」とのことで、ユーザーからのアクセスが集中している。
まだ使ったことのない人は、自分の家・マンションが写っているか試してみよう。使い方は簡単だ。
●ストリートビューの使い方
1:Googleマップで自宅の住所を入力して、自宅付近の地図を表示どうだろうか? あなたの自宅の写真は写っていただろうか? この写真はクルマから撮影されたもので、現時点では、札幌、小樽、函館、仙台、東京、埼玉、千葉、横浜、鎌倉、京都、大阪、神戸の12都市をカバーしている。
道路から見える風景はすべてカバーしているから、一般民家はもちろんのこと、道路を走っているクルマ、歩いている人間も写っている。クルマのナンバーや顔は、自動認識でぼかし処理されており、特定できないようになっている。
「洗濯物が映っていた」「人物が特定できる?」などの声もストリートビューの写真は、Googleのクルマが道路を走って撮影したもの。偶然ではあるが、問題のある写真も含まれている。ぼかし処理されていない人物の写真や、民家の表札が写っているものもあった(現在は修正済み)。また自宅の写真に洗濯物が写っていて恥ずかしい、なんて人もいるかもしれない。
ストリートビューの写真をプライバシー侵害だと感じる人もいるだろう。これについてGoogleでは「公道から撮影したものであれば、法律的には問題がないと考えている」と発表会でコメントしている。
ただし、ぼかし処理ではカバーできないこともあるため、問題のある写真の削除依頼を受け付けている。「不適切な画像、不快な画像のほか、個人が特定できるような画像があった場合は削除している。ユーザーからの報告にも対応する(Google)」とのことだ。
削除依頼(報告)をするには、問題のあるストリートビューの写真を表示した上で、右上の「ストリートビューヘルプ」をクリック。ヘルプに「不適切な画像を報告する」のリンクがあるのでクリック。すると左の画面になるので、問題の詳細とあなたのメールアドレスを記入して送信すればいい。
ユーザーからの報告や、Google側の判断で削除されると、その部分の画像はすべてカットされる。カットされると右のような真っ黒の画面になる。「問題があったから画像が削除された」という痕跡が残ることにも注意したほうがいいかもしれない。
アメリカでは、ストリートビューについて訴訟が起きている。ペンシルベニア州の夫婦が、ストリートビューで自宅内にいた写真が公開され、プライバシーが侵害されたとして訴訟中だ。これに対してGoogleは「現代社会にプライバシーなどは存在しない」という反論を行ったと報道されている。
日本でも掲示板などで論議されているが、賛否両論といったところ。ユーザーからの報告件数は「おおむね数十件程度(Google)」とのことだ。今後利用者が増えれば、報告・削除依頼も増えるだろうが、今のところは削除依頼はそれほど多くはないようだ。
ただし問題のある画像、不適切な画像が含まれている可能性もあるので、自宅の周辺を一度チェックしたほうがいいだろう。個人情報が特定できるような画像があれば、上記の方法でGoogleに報告しよう。
http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20080808nt0d.htm