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2008年08月07日(木) 15時46分

苦境にあえぐNo.1ブランドコーヒーチェーン スターバックスの失望MONEYzine

 シアトルスタイルカフェ・ブームの火付けであり、世界規模で展開を続けるコーヒーチェーン店のスターバックスの勢いにこのところ陰りが見られる。

 ブームの後に訪れた「スターバックス離れ」に苦しむ同社の第3・四半期(4-6月)決算は、純損失670万ドル。初めての赤字決算を計上した。来客数の減少とともに、世界的な原材料価格の高騰によってコストが増加したことが原因とみられる。売上回復のためにこれまで同社は、全米13万5000人の従業員にエスプレッソのいれ方を再教育するなどさまざまな施策を行ってきたが、大きな改善は見られず失望に終わっている。

 そこで経営陣が下した決断は、店舗閉鎖とリストラという苦渋に満ちたものだった。先月1日に米国内の不採算店600店舗の閉鎖を決定し、29日には従業員1000人の削減、最高執行責任者(COO)の役職を廃止し、幹部刷新を図る方針を明らかにした。

 年内にパリや北京、メキシコシティなどへ約1000店舗、2009〜2011年には米国外へ3500店舗の出店を予定しているが、米国内の店舗閉鎖のショックは大きい。スターバックスの年間収益の8割以上は米国内での事業が占めており、米国事業の縮小は同社の成長の鈍化を証明したことになるからだ。

 今後は米国以外の地域へ対し、積極的な出店を行い、海外事業の拡大を目指すが、現在展開中の海外事業も決して好調とはいえない。先月29日にはオーストラリアの不採算店61店舗を閉鎖を発表し、英国や日本でもブランド力の陰りが伝えられている。競合他社の追随を許さない出店攻勢で、シェアを広げてきたスターバックスだが、店舗数が増えすぎたことが飽きを生み、ブランド力の低下を招いてしまっている。

 米国では今月5日から、午前中の利用客を対象に、午後のアイス飲料を割引価格で提供するキャンペーンを全米で始めている。高級イメージで展開してきたこれまでの経営戦略を変更してまでのサービス展開だが、こうしたサービスに加え、店舗閉鎖とリストラ、経営幹部刷新と今できることすべてを行って、同社は苦境を乗り越えようとしている。

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