2008年08月06日(水) 22時32分
<北京五輪>聖火厳戒 でも「見たい」(毎日新聞)
【北京・三木陽介、鈴木玲子】人垣の向こうを通り過ぎるオレンジ色の炎だけがゆらゆらと見えた。6日朝、北京市内の聖火リレーがスタートした天安門周辺には、聖火をひと目見ようと多くの市民らが集まった。だが、厳重な警備で走者には近づけない。バス連続爆破や武装警官襲撃事件が起き、市内は緊張感が高まる。五輪開幕を目前にし警備動員数はボランティアを含め約151万人に上る。
天安門の西500メートルにある南長街交差点。午前8時10分、沿道から「中国、加油(頑張れ)」の大合唱が始まった。「あー、撮れなかった」。高校1年の少年(17)は携帯電話を握り締め悔しがった。背伸びして約十数メートル先の聖火を追ったが何も写っていなかった。
会社員の頼志強さん(23)は午前1時にタクシーで50分かけ天安門広場に来たが、すぐに南長街まで追い出された。スポンサー企業などの関係者しか入れないという。頼さんは「無駄足だった。10時半には会社に行かなければ」と座り込んだ。
地下鉄北土城駅では、係員が小さなバッグを持って改札を通ろうとした女性(23)を呼び止めた。「荷物を検査機に通してください」。女性は「五輪成功のためなら多少のことは仕方がない」とあきらめ顔で言う。
地下鉄では6月末、大きな荷物のX線検査が始まった。だが、7月のバス爆破事件後は、小さな荷物も対象になった。各車両に「安保志願者(保安ボランティア)」がほぼ1人ずつ配置され、不審物などをチェックする。
公共バスでは1日から、バス停に1万5000人、車内に1万人の保安員を配置している。天壇公園脇を走る路線バスでは、段ボール箱を持ち込もうとした若い男性が呼び止められた。男性は「本だけだよ」と言いながら、渋々テープを破って箱の中を見せていた。
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