2008年08月04日(月) 12時00分
フェイク・ドキュメンタリー『放送禁止』の楽しみ方(R25)
テレビ局に数多く存在する、何らかの事情で放送できなくなったビデオテープ。そんなお蔵入りテープを発掘、再編集して放映する…といった導入から、その恐怖のドキュメント番組は始まる。フジテレビにおいて断続的に発表され、カルト的人気を呼んでいる『放送禁止』シリーズのことだ。DV、ストーカーなど様々なテーマのもと、「こんなものを放送していいのか?」と思うほどショッキングな映像が続き、番組は意外な結末を迎える。深夜、何の予備知識もなく観た視聴者は、テレビの前で凍りつくだろう。
種を明かせば、「この番組はフィクションです」とテロップが入るように、これはフェイク・ドキュメンタリーという手法を使った作品である。しかし、嘘とわかっていても怖い。そして、この作品にはある趣向が凝らされているのだ。
「番組は表面上のストーリーがありますが、その裏には隠された真実が設定されています。注意深く観ていると、謎や伏線、暗号などがちりばめられているのがわかるでしょう。視聴者の方があれこれ考えて自分なりの答えを探るのが、この作品の正統な見方かな、と思いますね。ただ、制作者側が意図した真実はひとつです」と明かすのは番組を演出している長江俊和氏。実際にネット上などでは、様々な人が解析を試みている。「自分はこう読んだ」と謎を共有し、議論したりできるのも、この作品の魅力のひとつなのだ。そして、6月に放映された最新作『放送禁止6デスリミット』終了後、唐突に劇場版が公開されることが発表された。
「劇場版は、シリーズを通して描いてきた人間の本当の怖さや社会の愚かさみたいなものの集大成的な作品になります。映像も展開もこれまでにない映画に仕上がっていると思います。ご期待ください」(長江氏)
ちなみに、この記事はフィクションではない。番組の性質上、劇場公開もフェイクかと疑ったが(笑)、劇場版も長江氏の発言もすべて事実である。劇場で、あなたには隠された真実が見えるだろうか?
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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