記事登録
2008年08月03日(日) 02時32分

<愛知7税事務所>切手大量繰り越し 次年度に数百万円分毎日新聞

 愛知県の7県税事務所が05〜07年度に毎年度、各年度予算で必要分以上の大量の郵便切手を買い増し、数百万円分を次年度に繰り越していたことが2日、毎日新聞の調べで分かった。各事務所担当者は次年度のための蓄えとして意識的にプールしたことを認めており、04年度以前から各事務所で引き継がれてきた手法という。この実態を県出納事務局は知らなかったといい「切手は年度内に使う分を買うのが原則だ」と適正な予算執行を求めている。

 県内10事務所のうち、7事務所の備品購入記録などを情報公開請求して調べた。名古屋西部、名古屋北部、知多の3事務所については、07年にあった詐欺事件で資料が警察に押収されたため除いた。

 地方自治法は、各年度の歳出には同じ年度の歳入を充てる「会計年度独立の原則」を定めている。だが資料によると、7事務所が05〜07年度に繰り越した切手は▽05年度計約590万円分(年間使用額約1333万円分)▽06年度計約449万円分(同約1388万円分)▽07年度計832万円分(同約996万円分)。

 このうち東三河の場合、05年度は年度末の3月24日に約43万円分を買い増すなどして06年度に約177万円分を繰り越した。06年度に使った切手は繰越分より少ない約173万円分だったが、新たに3月28日の約43万円分など約168万円分を購入していた。

 各事務所には切手専用の出納簿があり、これに使用の日付と枚数、目的などを記載するが、郵便の送り先は「××ほか100件」などとしか記録されていない。また繰越額などは出納事務局には報告していない。

 県税事務所を統括する県税務課の市原明主査は「年度末に予算が足りなくなるのを心配し、年度初めに必要な切手を前年度のうちに買っておく担当者もいる」と説明する。これに対し、出納事務局管理課の坂野監治主幹は「繰越額が年間使用額を上回る事務所は異常としか言いようがない」と指摘している。【秋山信一、桜井平】

 児玉克哉・三重大教授(社会学)の話 切手はある程度、金券的要素がある。換金もできるので流用などもしやすく、大量の切手を持っていること自体が不透明。繰り越した現金を裏金として持っているのと同じだ。

【関連ニュース】
りそな銀:元行員が1億2000万詐取? 被害女性が提訴
詐欺:息子装い電話、1200万円詐取…岐阜県の女性被害
未公開株詐欺:投資会社社長に懲役7年 名古屋地裁判決
エビ養殖詐欺:65億円使途不明 元会長ら14人を再逮捕
詐欺:三菱商事子会社元社員の女逮捕 総額3億5千万円?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080803-00000013-mai-soci