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2008年08月01日(金) 19時07分

殺人の裏にある娯楽の影響度オーマイニュース

 近ごろ「通り魔」、「親を殺傷する」などの文字をニュースで見かける。私の場合、捜査が進むたびに心が痛くなる報道がある。

 現在は一線から退いたが、10年以上ゲーム業界で働いていた。小学生のころ、ドラゴンクエストにあこがれて上京。ゲームスクール、テストプレイのアルバイトを経て、ようやく企画職で働くことができるようになった。

 非常に苦しい仕事ではあったが、現在もその仕事に誇りを持っている。自分が子供のころからあこがれたように、子供に夢を与えるような仕事がしたいと思っているのだが、殺人事件が起こり、ホラーゲームなどを押収したという記事を見かけると、悲しい気分になる。

 実際は押収され、捜査に使われるだけであるが、ゲームを知らない人からすれば「ゲームが殺人に影響した」と思われてしまうこともあるようだ。個人的なことだが、母親にそれを言われた時はショックだった。

 こういった記事が出た時、ゲームを作る側は立場が弱い。

 「100%、ゲームと殺人に影響はない」とは言えないのも事実である。

 アニメや映画、インターネットも同じような立場だろう。

 かといって、全面降伏という立場もとれない。悪影響のありそうな娯楽を完全に排除したとして、数年後、凶悪犯罪はなくなるだろうか? それはありえないだろう。長い歴史の中で争いのない時代はなかったわけで、ゲームはじめ、さまざまな娯楽がなかった時代にも殺人はあった。

 また、それ以上に、ゲームをプレイするユーザーの多くは何も問題を起こしていない人であり、それを認めてしまえばその方たちに失礼だ。私自身もゲームソフト『グランドセフトオート』を持っているが、現在、元気にここで記事を投稿している。

 実際、そういった犯罪を起こした方がゲーム中毒だったとしても、それは1つの要素に過ぎず、すべてではない。それを含めた複数の要因があってそこに至ったのであろう。

 これが私なりに考えている結論である。

 従って過激な作品の規制も必要はあると思われるが、臭いものに蓋(ふた)をしただけは解決しない。そのにおいを嗅(か)いでも耐えられる心と、そのにおいを嗅いでも影響が出ないような環境を作っていくことが重要であろう。対策をするならそこが必要となってくると思われる。

 今、重要なのはその議論ではないのであろうか?

 現場のクリエイターは、楽しいもの、面白いものを提供するために必死で戦っている。こういった表現の自由に対しても頭を悩ましている。決して、悪影響を与えたくて作っているクリエイターはいない、と書き残しておきたいと思う。

(記者:山口 大介)

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