外為法違反の疑いで31日に広島県警などの家宅捜索を受けたホーコス(福山市)は、堅実な技術力を持ち味に、海外へも販路を広げていた。精密機械の輸出には厳しい法規制の網がある。捜査の行方によっては、モノづくりに打ち込んできた同社のコンプライアンス(法令順守)意識が問われそうだ。
「法に引っかからないように気を配っていた」。菅田秦介会長(79)は7月29日の中国新聞の取材にそう繰り返した。一方、「許可が不要となるレベルまで機械の精度を下げて売ったこともある」と説明。規制の網をクリアする、さまざまな手法があることを示唆した格好だ。
だが、県警幹部は「甘すぎる。規制をごまかして輸出を伸ばすことが許されると思っていたとしたら問題」と指摘する。県警などは今後、機械を買ったとされる韓国の自動車部品メーカーを捜査。機械の流出ルートなどを徹底的に洗い出す方針だ。
【写真説明】精密機械が並ぶホーコス本社の工場に立ち入り、捜索を続ける捜査員(31日午前9時50分、福山市草戸町)