2008年07月31日(木) 17時50分
保護司から見た、社会を明るくする方法(オーマイニュース)
理解に苦しむ「通り魔事件」「無差別殺人事件」が多発している。ニュース番組を見ていると「また事件のニュースが入ってきました」というキャスターの言葉も目立つ。
私が小さいころは、悪いことをすると「そんなことをすると、お母さんが泣くよ」とたしなめられ、教えられていた。事件を起こせば「家族が悲しむ」「親がなく」は犯罪抑止力として働いていた。しかし、それも「家族」という組織が健在な場合である。
今、発生している事件の容疑者の発言には「親を見返してやる」「親が相談に乗ってくれない」「父親の教育が厳しかった」などというようなものが多く聞かれる。
子どもの成長、教育、生活の基盤である「家族(家庭)」の崩壊が犯罪の1つの根底にあるのは間違いなく、そんな状況下で犯罪をどうやって防止すればいいのか。
私の住んでいる地域でも「地域の安全は住民の手で」を合言葉に「安全・安心まちづくりネット・ワーク」が5年前に発足。私もパトロールの活動などに参加している。そして、30日、保護司を招いての防犯研修会があったので出席した。
長年にわたる保護司の経験から犯罪の背景、不幸にも罪を犯してしまった保護観察者への対応など「社会を明るくするため」の課題が議論された。
それによると、非行青少年は多くの場合、まともな大人とのつきあいがない。親との付き合いもなかった。父親も忙しいし、子どもの面倒も見られない生活なのだ。
「子どもが毎日、何回大人と顔を合わすか?」
答えは1〜2回で、ほとんどないのだそうだ。そのために大人の気持ちが分からなくなる。
親にも問題が多い。母親が面倒臭がって子どもの育成会に入らず、地域の行事に顔を出さなかったりする。そして引きこもりがちになり、精神的におかしくなっていく。
また、しかる人がいなくなったという問題もある。学校の先生もしかることができない。体罰ができない。
しかったことで、「いじめられた」と嫉(ねた)んで学校に乗り込み、担当だった先生を切りつける事件も起きた。以前はしかるときはしかったのだが、世の中が変わった。
では、どうすれば良いのか。
安心・安全まちづくりネットワークで大人と子どもが接することが、子どもにとっては幸せなことである。生きる喜びをもらうことになる。
学校内への不審者の侵入を防止するために監視カメラを設置し、監視したが、捕らえてみれば、全員、身内の子(卒業生)だった。監視カメラだけでなく、学校へ地域の人が来るようにする。それにより大人も子どもに触れあうことができるし、監視にもなる。
壊されるとすぐ直す。破られるとすく張り替える。落書きされるとすぐ消す。何回も繰り返すが、4〜5回やると落ち着いてくる。
「人間って何か受けるものがある」
母親は子育てが分からず、困っている。子どもサークルや支援活動が各地で行われているが、親の教育を担当する高齢者の地域のコミュニケーションが大切になってきた。
これも課題であるが、保護観察者の仕事を通じての「自分の居場所」が見るからない。仕事に就いていないと再犯が起きる。「協力事業者がほとんどいない」と市内の事業者に協力を訴えた。
「いつ、どこで何があっても不思議ではない」状況にある。警察に頼らず、「自分たちの町は自分たちで守る」には高齢者の力が必要なのだ。
(記者:矢本 真人)
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