2008年07月30日(水) 12時00分
ネットの犯行予告にはどんな刑罰が適用されるの?(R25)
秋葉原の無差別殺傷事件以降、それを真似たネット上の犯行予告が相次いでいる。世間を騒がせたい愉快犯によるものばかりだが、事件のあった6月8日から28日までの3週間で、小中学生を含む30人が逮捕・補導された。
ところでこの犯行予告、一体どんな罪に問われるのだろう? ネット関連の法律に詳しい弁護士・落合洋司さんに聞きました。
「ネット上の犯行予告を取り締まる特別な法律はありませんが、主に威力業務妨害と脅迫罪に問われます。威力業務妨害とは、直接的な暴力や言葉の暴力等の“威力”を用いて人の業務を妨害する行為のこと。脅迫罪は、人の生命、身体、自由、名誉または財産に対して、これから害悪を加えるぞと脅迫すること自体で成立します。そのため、完全な愉快犯による犯行予告で、全く実行する気がなくても、罪に問われることには変わりありません。予告対象やその内容によって罪名が決まります」
ただし、行った行為が悪質ではなくイタズラと判断された場合、軽犯罪法違反という罪名になることもあるとか。今回逮捕されたなかには「殺す」を「頃す」や「投す」と書いた人がいたけど、一般の人が予想できる範囲の伏せ字や当て字なら、被害者側が受ける被害の程度は同じ。罪が軽減されることはないのだそう。ところで、こういった犯行予告は、事件以降増えているのでしょうか?
「減ってはいない、という印象ですね。警察は逮捕という形で重いペナルティがあることを知らしめ、軽率な犯罪を減らすことに努めていると思います。マスコミがそのことを取り上げる回数が増えたので、実数より増えているような印象を受けるのかもしれません。ただし、今までなら『どうせ冗談だろう』と受け流されていた犯行予告が、事件以降重く受け止められるようになったのは事実。発見した犯行予告を警察に通報する人は確実に増えています。また、『予告.in』という犯行予告収集サイトでは、ネット住民による情報がひっきりなしに寄せられているそうです」(同)
なるほど。逮捕や通報自体が抑止力になるってワケですね。ほかに考えられる予防策ってありますか?
「犯行予告後の逮捕では、対策が後手に回っていると言わざるを得ません。今は、小学生くらいの子どもからお年寄りまでネットを楽しむ時代。正しく、楽しく使うための“ネットリテラシー”教育を、早い段階から始めるのが一番の予防策だと思いますよ」(同)ネット上の発言があっという間に広まってしまう現在。加害者にならないためにも、自分の発言にはきちんと責任を持ちましょうね。
(R25編集部)
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
【関連記事・情報】
・
ネットの犯行予告にはどんな刑罰が適用されるの?の詳細情報
・
実はこんなに変わっていた道交法&免許制度の現状は? (2007.09.13)
・
団塊、新人類…マスコミはなぜ「○○世代」とつけたがるの? (2007.10.18)
・
30年ぶりに改正!?自転車のルールどう変わる? (2008.02.07)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000001-rec_r-sci