2008年07月30日(水) 20時05分
食料品が消え、ATMから現金が出ない 新型「風邪」で起きる未曾有の事態(J-CASTニュース)
発生すると急速に感染が拡大するとして懸念されている「新型インフルエンザ」に備えて、民間企業が注意すべきポイントなどを盛り込んだガイドラインを厚生労働省がまとめ、公表した。流行時には最大40%の従業員が欠勤することを想定しているほか、買い占めで、食料品や生活必需品の品不足が発生、在宅勤務の増加でインターネットが混雑するなど、かなり具体的な影響にまで踏み込んで記述されている。
■会議を避け、電話会議やビデオ会議を利用する
政府の試算では、新型インフルエンザが国内で発生した場合、最大で3200万人が発症、64万人が死亡する可能性があるとされている。厚生労働省では、07年2月に新型インフルエンザ対策のガイドラインを定めたが、今回はこれを改訂。企業が具体的に何をすべきかを盛り込んだ。
ガイドラインでは、「フェーズ」と呼ばれる、感染の広がり具合に応じて影響を想定。国内で小規模な集団感染が始まるフェーズ「4B」から従業員の欠勤が始まり、より大きな感染が起こる「5B」では約2割が欠勤。さらに、大流行(パンデミック)状態の「6B」では、欠勤者が4割に達することを想定している。
企業に対しては、「4B」の段階で(1)不要不急の業務を一時停止する(2) 対面による会議を避け、出来るだけ電話会議やビデオ会議を利用する(3)ラッシュ時の通勤を避け、時差通勤や在宅勤務を推進する、ことなどを求めている。
ガイドラインでは、企業の取り組みだけでなく、日常生活と密接にかかわってくるライフラインにどのような影響があるかについても、具体的に予想している。
■電話やインターネット使用が増加、一時的に通信速度が低下
例えば、公共交通機関については、外出の自粛が進むと考えられていることから、需要が減少。通勤手段は徒歩や自転車、自家用車にシフトすると考えられている。また、外出の自粛や在宅勤務が進むことで、電話やインターネットに対する需要が増加。一時的に通信速度が低下するとみられている。金融の面からみると、現金を引き出そうとする市民が増加した結果、ATMへの現金流通が滞り、サービスが一時的に停止する可能性を指摘している。食料品や生活必需品については、もっと深刻だ。買い占めが進んだ結果、品不足が起こり、価格が上昇する可能性があるのだという。
また、不特定多数が集まる場所を提供する事業者については、自治体などが事業の自粛を求めていく、としている。それでも事業を展開する場合は、「従業員や利用客などが常に2メートル以上の距離にあり、互いの接触・接近が防止される」ことを求めており、実現するのは難しそうな環境だ。事実上、飲食店やイベント会場は「がら空き」ということになりそうだ。
行政サービスについては、行政手続やごみ収集などの必要最低限のもの以外は大幅に縮小されるという。
ガイドラインは7月30日には専門家会議で検討され、一般からの意見を募集した上で、9月をめどに正式決定される見通しだ。
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