2008年07月28日(月) 20時10分
オリンピック直前の北京レポート(オーマイニュース)
オリンピック開幕を控えた北京の近況をレポートする。観光スポットの紹介は他のガイドブックなどに任せることにして、本記事は、オリンピック直前ということに焦点を当ててみた。
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■ビザと入国審査
日本人の場合、15日以内の滞在であれば原則としてビザが不要である。多くの国へビザ無し渡航が可能な日本人にはめずらしく感じられないかもしれないが、実は、これはものすごく特別なことだ。現在、中国へのビザ無し渡航が許されているのは、日本、シンガポール、ブルネイのわずか3カ国しかないのである。
我らが同盟国アメリカの国民はビザが必要。しかも、発給を拒否されるケースも少なくない。中には、「オリンピックのチケットが取れたのに、ビザが下りない」という悲惨なケースもある。
その点、我々日本人は何も心配ない。ビザも要らず入国審査も簡単だ。記者はアメリカ在住で、アメリカのビザを持っていたため、少し心配していたが、結局何も質問されなかった。改めて日本のパスポートの力を痛感した。
■北京市街
国際空港と市内は7月19日に開通した地下鉄により、わずか20分で結ばれている。私が利用したのは開通の翌日。新しい駅と列車は非常にきれいだった。
新しいのは地下鉄だけではない。中国4000年の歴史はどこへやら。街で目に入るのは真新しい建物の数々だ。人の数がはるかに多いという点を除けば、景色はどことなく東京と似ている。
工場を一時停止している効果か、空気も特に汚い感じはせず、道路などもきれいだ。町中にはボランティアや警察官が多数いて親切に道を教えてくれる。慣れない英語を必死に駆使する彼らの姿には頭が下がった。
■公共施設のセキュリティー
オリンピック関連施設のほとんどは立ち入り禁止になっている。建物は柵で囲われて、一定の間隔で武装警察官が配置されている。
地下鉄の駅にはX線荷物検査装置が設置され、大きな荷物を持っている人はチェックされる。
あるとき、地下鉄の駅で、私は周りを歩いていた数人と共に警察官に身分証明書の提示を求められた。日本のパスポートを初めて見たらしいその警察官は少し驚いた様子だったが、私だけすぐに通してくれた。
私以外の人(おそらく全員中国人)は駅構内の交番に連れて行かれたが、オンラインによる身分照会が済むとすぐに解放された。どうやら、私が真っ先に開放されたのは、パスポートからの身分照会が交番ではできないためらしい。
私が見た範囲では、北京の警察官はとても人当たりがよかった。手荷物検査のときは「忙しいところすみませんね」という感じで頼んでくるし、終わった後は笑顔でお礼を言う。記者が住むアメリカの警察官は万事に高圧的な態度を取るが、中国の警察官はそうでもないようだ。一度は直立不動の武装警察官に道を尋ねたこともあったが、とても親切に教えてくれた。
■テレビ番組
テレビ番組もオリンピックに関するものが多い。中国の選手だけでなく、外国の一流選手の紹介にも多くの時間を割いている。「世界のこんなすごい選手が中国に来る!」と宣伝することで、オリンピックを盛り上げようとしているようだ。
また過去のオリンピックの総集編では、日本勢の活躍にも長い時間を割いていて、少し驚いた。気をつけてみていると、オリンピックに限らず、テレビに日本が登場する頻度はかなり多いようだ。しかも、好意的な内容が少なくなかった。
■体感距離
日本では中国のことを「近くて遠い国」ということがある。しかし、アメリカ在住日本人である記者にとって、中国はむしろ「遠くて近い国」だった。アメリカから行く中国は距離的にはとても遠いが、北京の町並みや食文化などに日本と近いものを感じたからである。
時差12時間の旅行はとても疲れたが、オリンピックへの準備が着々と整う北京の姿を自分の目で見るという体験はとても貴重なものとなった。
(記者:鈴木 隆介)
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