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2008年07月28日(月) 11時13分

FX人気から見える世界の景色オーマイニュース

 最近の統計によれば株取引きを行っている人たちの倍の人数が、FX取引をしている。FXの口座数は年々倍増を続けている。

 以前、投資と言えば株式投資が主流であったが、今ではFXがその座を奪っていると言える。背景には株式市場の低迷と日本円の低金利、FX取引の仕組みが挙げられる。

 また、日銀の低金利政策により現在の日本円の政策金利は0.5%で、世界一金利の低い通貨となっている。

 その為、他通貨との金利の差額により、円安・外貨高に振れ易い。つまり為替差益が取り易い相場環境が整っているのである。

 FXは少ない資金で、高額な取引が可能である。借り入れた資金と一緒に取引するのだ。これを「レバレッジ」(テコ)という。

 つまり、手元資金が1であっても、その100倍や200倍の資金を借り入れ、100、200の資金として取引することが可能である。レバレッジは自分で自由に調整できる。当然レバレッジが高ければリスクは高まる。しかし、少額な資金で取引できるため、ハイリターンも期待できる。リスクを軽減を望めばレバレッジを下げられるという自由度がある。

 また為替市場は土日を除き、24時間開いてる為、好きな時間に取引ができる。昼間働いている人でも取引ができる点もFXの口座数の増加に貢献しているのだろう。

 最もFX取引の優位性があるのがスワップポイントの存在である。スワップポイントとは外貨を買い、保有するだけで金利の差額分を毎日受け取ることができるものである(ただし、日本円より低金利の通貨を保有した場合は、金利差額分を支払わなければならない)。

 株式投資の場合、利益は、売買差益とわずかな配当金になるが、FX取引の場合、為替差益とスワップポイントである。スワップポイントは、毎日受け取れ、金額も多い。当然0.5%しか金利のない日本円は他国通貨との金利差はかなり幅がある。

 特に、オセアニア通貨(オーストラリアドル・ニュージーランドドル)、南アフリカの通貨ランド、トルコのリラなどは高金利通貨と呼ばれ、受取れる金利差額金額はかなりあり人気が高い。特に高金利通貨の1つ、トルコリラの政策金利は17.5%もあるので、日本円との金利差額は17%もある。

 FX(外国為替証拠金取引)では、トルコリラを保有するだけで、まるまる17%もの金利がつく。

 証券会社やFX業者により違いはあるが、1万通貨を保有するだけで、1日約370円ものスワップポイントを受け取ることが出来る。レバレッジを100倍とした場合、トルコリラを所有するのに必要な資金は、約8600円である。これによって月間約1万1400円、年間約13万8700円の収入が得られる。為替変動を無視した机上の空論だが、年率換算すると1620%という破格な利回りとなる。

 そのため、人気の高い高金利通貨はクロス円では値上がりしやすく、為替差益も得やすい。仮に為替差損が発生しても、長期間保有すれば差損金額はスワップポイントでカバーできてしまうのである。

 またここ数年の傾向は、「円キャリートレード」と呼ばれる取引が活発に行われている。円キャリー取引とは海外の投資家などが外貨建て資産を担保に、低金利の日本円を借り入れ、その資金で高金利通貨や金融商品に投資する取引形態である。

 この取引は円安・外貨高を推し進める大きな要因となっている。

 しかし今後、日銀が利上げを繰り返し行えば、他国通貨との金利差は縮小する。獲得できるスワップポイントは減少する。また、金利差が小さくなれば円キャリートレードも縮小し、円安要因の一つが消える事になる。

 日銀は量的緩和政策を解除し、金利正常化路線を行っているものの、日本経済が低迷している点や利上げを行うと日本政府が抱える財政赤字が膨らむ事から、なかなか利上げを行えない状況に置かれている。

 7 月25日に総務省が発表した6月のCPI(全国消費者物価指数)は前年同月比1.9%上昇した。前年比プラスは9カ月連続だ。インフレ抑制のために利上げを行う環境にあるといえるが、それ以上に、深刻な景気後退が進んでおり、利上げは当面(少なくとも年内には)ないという見通しが一般的である。

 とはいえ、いつまでも低金利政策が続くとは考えにくい。日本経済が回復しかつ物価の上昇が続けば利上げを繰り返すことになり、FX取引のうまみは薄らぐ事になる。

 個人的な見通しではFX取引の優位性は数年以内に薄らぎ、利益を生みだしづらくなる事から、現在全力投球でFX取引を行っている。

 過去を振り返ると、その時代ごとに優位性の高い投資形態が存在してきた。もし、FX取引のうまみが無くなっても、それに代わる取引形態が生まれてくるだろう。今手軽に行える優位性の高い取引形態はFXだと思う。

(記者:佐藤 裕充)

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